東京国際映画祭クロージングセレモニーが6日、都内で行われ、「敵」(25年1月17日公開)主演の長塚京三(79)が最優秀男優賞を受賞した。
東京グランプリ/東京都知事賞と、吉田大八監督(61)の監督賞とあわせて3冠を獲得。邦画の3冠独占は、根岸吉太郎監督(74)佐藤浩市(63)主演の05年「雪に願うこと」以来、19年ぶり。邦画の最高賞受賞と日本人俳優の男優賞受賞も19年ぶりと、俳優人生50年の節目の快挙となった。
長塚は「レッドカーペットを歩いて2晩たったら、こういう事態。まごまごしています」と顔を赤らめた。13年の「ひまわり〜沖縄は忘れない あの日の空を〜」以来、12年ぶりに主演した映画の撮影は「出ずっぱりで、撮るので精いっぱい」だった。妻に先立たれた77歳の元大学教授を演じたが、ロケで借りた家が自宅から遠く「1日を終えるので精いっぱい。先のことなど考えられなかった」という。「妻のサポートがあって食べるものを食べ、寝る時間を確保してもらった」とマネジャーの妻に感謝しつつ「映画祭に呼ばれ賞をいただけるなんて考えてもいませんでした」と口にした。
大学紛争によるロックアウトを受け、早大文学部演劇科を中退しパリ大(ソルボンヌ)に留学した中で声をかけられ、74年のフランス映画「パリの中国人」に出演し、俳優デビューして半世紀。「僕は、ひょんなことから俳優になった。ボチボチ引退かなと思っていたので、奥さんはガッカリするでしょうけど。もう少しこの世界でやってみようかな。東京国際映画祭、ありがとう」と感謝した。【村上幸将】
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