アストンマーティンF1チームのフェルナンド・アロンソは、F1サンパウロGP決勝で背中の痛みに耐えながら何とか完走を果たした。その努力に見合う結果を得ることはできなかったものの、マシンを修復してくれたメカニック、さらに母国スペインで洪水被害に苦しんでいる人々のために走り切ったという。
インテルラゴスのコースは再舗装されたばかりだが、ドライバーたちは、バンピーな路面に苦しんだ。アロンソは、マシンの振動によるひどい背中の痛みに見舞われながら、69周を走り切った。さらにアロンソは、ハンドリングの悪さとブレーキの不調にも悩まされていた。
天候の影響で日曜朝に行われた予選で、アロンソはクラッシュ、メカニックは懸命な作業でマシンの修理を行い、決勝にアロンソを送り出した。チームの苦労に報いるために、何としても最後まで走り切るという決意を、アロンソはレース中に示していた。
「メカニックたちのためにレースを完走する」とアロンソは無線で、レースエンジニアに伝えた。
「彼らは今日、素晴らしい仕事をしてくれたからね。でも背中がとにかく痛い。この揺れは普通じゃないよ」
レース後、アロンソは、痛みのために、しばらくマシンから出ることができなかった。
「レース後半は、かなりバウンシングや、ポーパシングがひどかった」とアロンソは言う。
「理由は分からない。厳しいレースだったよ。ポイント圏外だったから、状況が違えば、レースを諦めていただろう。でも、メカニックたちは、レースに向けてマシンをグリッドに並べるために素晴らしい仕事をしてくれた。彼らのために、僕は何としても完走したかったんだ」
アロンソは、前戦メキシコシティGPの後に腸の感染症の治療のためにいったんヨーロッパに戻り、直前にブラジル入りするという、ただでさえ厳しい状態だったが、サンパウロの週末にさらに大きなチャレンジに臨まなければならなかった。
「辛かったよ。このレースのためにブラジルに来るまでに、たくさんの準備、検査、理学療法士や医師の助けが必要だった。全員がとてつもない努力をした。今日のメカニックたちもそうだ」
アロンソは、身体が辛い状態のなかで完走を果たしたのは、母国スペイン・バレンシア州で災害の被害に苦しんでいる人々を思ったからでもあると、述べた。10月末にスペイン東部は集中豪雨に見舞われ、多数の死者が確認された。被災地では今も、混乱が続いている。
「(ハンドリングやブレーキに苦しみ)快適に走ることができなかった。でも僕よりひどい状況に見舞われている人たちがいる。バレンシアの悲惨な様子を見た。彼らは苦しんでいる。だから僕は、皆のために、苦しみながらも何周かを走った」
ブレーキの問題について、具体的に説明したアロンソは、再スタートのたびにブレーキバランスがリセットされ、ブレーキバランスが極端にリヤに移動したと述べた。
「(クラッシュした)ランス(・ストロール)は、フォーメイションラップでブレーキの問題を抱えていたのだと思う。僕も再スタートのたびにブレーキの問題に見舞われた。ブレーキバランスが完全にリヤに移動し、まるでハンドブレーキでブレーキをかけているようだった」
「全体的に悪夢のようなグランプリだった。次の3戦に向けて、改善する必要がある」