11月3日に栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催された2024スーパーGT第8戦。GT300クラスの決勝では、小林崇志/小出峻組の18号車UPGARAGE NSX GT3が2023年第5戦鈴鹿以来となる表彰台を獲得した。レース後、両ドライバーに自身のスティントと今季ここまで苦戦の理由を聞いた。
昨季2023年は開幕戦で優勝を飾ると、第5戦で2勝目を挙げ、続く第6戦はレース後に失格とはなってしまったがトップチェッカーを受け、ランキング5位でシーズンを終えていたUPGARAGE NSX GT3。ベテラン小林とホンダ育成の小出とのコンビは速さと安定感を兼ね備えており、今季への活躍も期待されていた。
ただ、2024年シーズンのUPGARAGE NSX GT3は第2戦での7位がここまでの最上位で、入賞もそのときの一度のみという厳しい状況が続いていた。そんななか迎えた第8戦もてぎでは、予選から上位を争い、決勝でも小林がオーバーテイクをみせて3位表彰台を手に入れた。
まず第1スティントを務めた小出は「1周目は少しポジション取りがうまくいかずに順位を落としてしまいました。その後は上位集団についていくことはできましたけど、なかなかオーバーテイクすることは難しかったです」とレースを振り返る。
「でも、FCY(フルコースイエロー)などで差が詰まったので(SUBARU BRZ R&D SPORTを)追い抜くことができました。単独のペースはすごく良かったので、その状態で小林さんに渡すことができたという意味では、自分的には良い部分も悪い部分もそれぞれあったスティントでしたね」
UPGARAGE NSX GT3はGT300クラスのなかでは終盤となる26周目にピットイン。無交換や2輪交換の車両もいたが「トータルのレースペースを考えると4輪交換のほうが良い(小出)」という考えでオーソドックスな4輪交換を選択し、小林が実質4番手で復帰する。
その小林は、ピットアウト後に一度87号車METALIVE S Lamborghini GT3に先行を許すも、ふたたび87号車を抜き返して4番手に。レース終盤の51周目にはV字コーナーでGT500車両と交錯しそうになった31号車apr LC500h GTの隙を逃さずオーバーテイクし、3位表彰台を獲得した。
「本当に淡々と走っていましたけど、そのなかで2輪交換や無交換でペースの上がらない車両がいたので、何とかオーバーテイクして3位まで上がることができました。もちろん、前のクルマに追いついたら絶対に抜きにいかないと話になりませんし、無事にオーバーテイクすることができたという意味でも良かったです」と言うのは小林だ。
今季ここまで苦戦を強いられていたUPGARAGE NSX GT3。そのいちばんの原因としては、今年からGT300クラスに導入された50%カーボンニュートラルフューエル(CNF)『GTA R50』への対応に苦しんでいることを小出が明かす。
「やはり大きな要因のひとつはCNFです。今年からGT300にも50%ではありますがCNFが導入されましたが、僕たちはその影響でエンジンパワーをうまく引き出すことができていない部分がありました。なのでストレートスピードでロスをしていたのですけど、この終盤戦あたりで少し原因が見つかってきました。その対策が好結果の要因かなと思いますね」
一方の小林は、小出の言うCNFへの対応に加え、セットアップの見直しも功を奏したと続ける。
「燃料が変わったことに対するアジャストなどがうまくできてないこともありますが、最近はクルマのセットアップが少し外し気味なことが多かったです。今回は今までのデータをしっかりと見直し、そのうえでクルマをセットアップしてきましたし、ヨコハマタイヤさんもすごく良いタイヤを用意してくれて、僕らもうまくタイヤを機能させることができた結果だと思います」
12月の最終戦に向けて小林は「もてぎと同じく鈴鹿もすごく得意なコースなので良い結果を望めるとは思いますが、12月のレースは今まで経験したことがなく未知数な部分があります。他チームやメーカーもその部分は一緒ですが、そういったレースではチーム力が試されるので、しっかりと準備を行い、どんな状況でも表彰台、できれば優勝してシーズンを終われるように頑張りたいです」と抱負を述べる。
そして小出は「表彰台はもちろん嬉しいですけど、やはり優勝したいですね。まだ今シーズンは終わっていないですし、今回はひさしぶり表彰台なので、喜ぶ分は喜びますけど、最終戦ではこの良い流れで優勝を掴み取りたいと思います」と続けた。
その最終戦となる鈴鹿は第5戦の代替レースとして開催されるが、昨年の第5戦でGT300クラス優勝を飾っているのは小林と小出のUPGARAGE NSX GT3でもある。季節はかなり異なるが相性としては悪くないはずなので、チャンピオン争いにも影響を与える存在になるかもしれない。