【体操】パリ五輪で金導いた水鳥寿思氏が静岡市民栄誉賞を受賞「元気を与えていきたい」

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2024年11月08日 20:30  日刊スポーツ

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記念写真に納まる水鳥氏(右)と静岡市の難波市長 

体操男子の日本代表監督として、パリ五輪で個人と団体の金メダルに導いた水鳥寿思氏(44)が8日、静岡市民栄誉賞を受賞した。同市役所で行われ授与式で難波喬司市長(68)から賞状と花束など受け取り、笑顔で受賞の喜びを語った。


  ◇  ◇  ◇


緊張した面持ちで会場に現れた水鳥氏は、開口一番「静岡市で最高の賞をいただき、大変感激しています。ありがとうございました」と言葉に熱を込めた。静岡市民栄誉賞は18年の故さくらももこさん以来2人目。選手、監督として日本体操界で偉業を重ね、難波市長から「輝かしい活躍は、静岡市、市民にとって名誉なこと。誇りに思います。おめでとうございます」とたたえられた。


現役引退後の12年、史上最も若い32歳で代表の男子強化本部長兼監督に就任。15年の世界選手権で37年ぶりの団体優勝を飾り、翌16年リオ五輪では12年ぶりの団体金メダルに貢献した。自国の東京五輪でも銀、今夏パリ五輪では2大会ぶりの団体金メダルに導いた。


代表監督として五輪、世界選手権を合わせて54個ものメダルを獲得してきたと業績を伝えられると「知らなかった。改めて選手の活躍を誇らしく思う」と言葉をつなぎ「(大リーグのドジャース)大谷選手の54本塁打、すごいな〜と思っていましたが、まさか54個もメダルを獲得していたとは」と驚きの表情も見せた。


静岡市葵区出身。2歳から元体操選手の両親が運営する「水鳥体操館」で、遊び場のように体操に触れ合った。6人きょうだい(5男1女の次男)の体操一家の中で特に体が硬く、父から「体操には向いていないんじゃないか…。静岡だからサッカーやれよ」と言われたほどだったという。


しかし、諦めなかった。「家族で体操に取り組む中、いつしか体操がうまくなることが喜びになっていた」と、さらなる高みを目指す。高校は県外の強豪、関西(岡山)に進学。厳しい道を選び、日本代表となって04年アテネ五輪の団体金メダルにつなげた。


15歳から地元を離れていたことに触れ「今日は静岡市民として表彰いただいたことで、また違ったうれしさがある。離れていても応援してくれていることが実感できた」と振り返った。体操競技に携わり、これまで大切にしてきたことを問われると「選手時代は、目指すイメージを持って準備に取り組むこと。監督時代は選手の主体性を重視すること」と金言も発した。


今後は日本体操協会の統括本部長として、男子チームだけではなく女子、新体操、トランポリンの強化に取り組む。さらに日本オリンピック委員会(JOC)では、中長期戦略プロジェクトリーダーとして、これまでの経験や知見を還元していく。「次のミッションでも活躍し、静岡の皆さんに元気を与えていきたい」と原点の地で、力強く語った。【山口昌久】


◆水鳥寿思(みずとり・ひさし)1980年(昭55)7月22日、静岡市生まれ。6歳の時、水鳥体操館で本格的に競技を始める。関西高(岡山)−日体大。卒業後は徳洲会に進み、05年世界選手権で個人総合2位に輝く。12年5月に引退。同年ロンドン五輪後、史上最年少32歳で男子強化本部長兼監督に就任。五輪の団体では3大会連続メダル獲得に尽力した。172センチ。

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