「楽器店への恩返し」野村義男、レアギターへの思いーー“思わず検索したくなる”ギター・コレクション

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2024年11月09日 08:00  リアルサウンド

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■“よっちゃん”のギターコレクションを網羅!


参考:【漫画】もし哲学者が現代に転生してギターを手にしたらーー「ジャンプ+」で連載中の話題作『実存アンプラグド』


 日本屈指のギターコレクター&愛好家であるミュージシャン、野村義男のコレクションを紹介する『野村義男の“思わず検索したくなる”ギター・コレクション還暦記念増補版』が10月11日、リットーミュージックより出版された。掲載されているギターの本数は400本以上で、とにかく、ギター好きにとってはたまらない一冊となっている。


 ヴィンテージギターから最新のモデル、価格帯も数千万円レベルから数万円まで、野村のコレクションは実に幅広い。ヴィンテージギターの最高峰であるギブソンの1959年製レスポールのほか、1958年製レスポール、フェンダーの1951年製“ノーキャスター”、そしてフェルナンデスからリリースされた野村自身のシグネチャーモデルまで網羅されている。


 ギター1本1本に丁寧な解説も加えられており、入手に至るまでのエピソードも面白い。ギブソンの1984年製のレスポールカスタムは、なんとイケベ楽器のポイントを使ってゲットしたという逸品。近年、80年代のギブソンもじわじわと値上がりが続いているが、それをポイントで入手するとは。どれだけギターにお金をつぎ込めばいいのだろうか…。


■よっちゃんの楽しそうな笑顔がたまらない


 そして、野村はとにかく手先が器用なのである。アンプやエフェクターの改造は言うに及ばず、ウクレレを収納するケースまで自作してしまうほどだ。さらに、ギターファンの“あったらいいな”を実際に形にしてしまうのも野村の凄いところである。


 例えば、ギブソンのエクスプローラーやフライングVのヘッドの形状を、レスポールと同じに改造してしまったのである(さすがにこれはプロにお願いしたというが)。これはありそうでなかったし、実物の写真を見るとまったく違和感なく馴染んでいるのがスゴイ。野村のセンスの良さが感じられる。


 ギターの写真集と聞くと、何かと敷居が高そうなイメージである。本書は貴重なギターの資料集としても楽しめるが、何よりギターの楽しみ方が存分にまとめられているのが魅力だ。とにかく、野村がギターを手にした写真が、笑顔で楽しそうなのである。本書を手にしたら“ギターを弾いてみたい”、そして“買ってみたい!”と思うこと間違いなしだ。


■なぜ、野村のもとにレアなギターが集まる?


 野村は浜崎あゆみのバックミュージシャンとしても長く活動していたので、筆者はその印象がかなり強い。そして、いつもステージ上で手にしているギターが違っていたのが印象的であった。その理由を、野村は本書で「人前に出る時は、できるだけ違うギターを持つようにしています」「それが楽器店への恩返しだから」と語っている。


 コレクションのギターを愛するだけでなく、楽器店の店員さんとも良好な関係を築いている。なるほど、野村のもとに貴重なヴィンテージギターや、変わり種の唯一無二なギターが集まってくる理由がよくわかった。コレクションをするうえでの心構えを学べる意味でも、ギターに限らず、あらゆる品物のコレクターや愛好家が手にしてほしい一冊である。


(山内貴範)



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