過度な減量による“病院送り”を告白した2023年ル・マンウイナー『軽い者が有利』なWECの現状に警鐘

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2024年11月10日 08:50  AUTOSPORT web

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51号車フェラーリ499Pをドライブするアレッサンドロ・ピエール・グイディ、ジェームス・カラド、アントニオ・ジョビナッツィ
 WEC世界耐久選手権でフェラーリ499Pをドライブしたジェームス・カラドは、ライバルたちと比較した場合の不利を払拭するために体重を減らそうとした結果、2024シーズンはじめに入院を強いられていたと明かした。

■20kgの違いで「ル・マンでは1周あたり1.5秒差」

 カラドは11月2日にバーレーンで行われたWEC最終戦を前に、このことを認めた。その後行われた8時間レースで、彼と51号車のチームメイトであるアレッサンドロ・ピエール・グイディとアントニオ・ジョビナッツィは、レース後のペナルティにより2位を失った。

 2023年のル・マン24時間を制した51号車のクルーだったが、2024シーズン最高位はル・マンで記録した3位であり、最後の3レースでの獲得ポイントはわずか1、ランキングでは8位という厳しいシーズンとなった。

 昨年フェラーリでハイパーカーにステップアップして以来、カラドはトップクラスのより軽いドライバーたちと比べて体重の面で不利に直面しているという信念を声高に表明しており、これを補うためにルールの変更を求めてきた。

 そして、できるだけ体重を落とそうと努力した結果、シーズン開幕2戦のカタールとイモラの間にイギリスに滞在していた彼は、入院することになったという。

「今年は体重が減りすぎて体調を崩した」とカラドはバーレーンで記者団に語った。

「栄養失調で入院した。走ってばかりで食事もとらなかったので、薬で治療していた。体重を減らそうと必死だったから。本当に病気になってしまった」

「だから、望む体重まで落とすことはできない。危険すぎるからだ」

 カラドが最後に51号車で予選に出場したのは5月の第3戦スパだった。その際に彼は、このフィールドでもっとも体重の軽いドライバーたちとの差をほのめかし、今後はチームメイトのジョビナッツィとピエール・グイディに予選を任せた方がいいと示唆していた。

 35歳のカラドは、70kg以上であること以外、正確な体重を明かそうとしなかったが、姉妹車50号車のフェラーリの予選を定期的に任されているアントニオ・フォコより10cm、背が高いと推定されている。

 トヨタのニック・デ・フリースやアルピーヌのシャルル・ミレッシも、ハイパーカーの軽量級とされるドライバーだ。

「予選に出場できればいいのだが、体重が重すぎる」とカラドは語った。

「他のドライバーより10〜20kg重い。それが、0.5秒ほどの差をもたらす。だから予選に出ないんだ。残念だ。他の選手権やカートのように、もっと平等にしてほしい。僕らは世界選手権を戦っているのだから、平等な権利があればいいなと思う」

「耐久レースなので、1台のクルマに3人のドライバー、また他のクルマでは2名体制のチームもあるので、それを管理するのは簡単ではないことは分かっているが、なんとか予選に出られるようにしたいものだ」

「予選をやりたいと思って入るけど、できない。僕は太っているわけではないが、70kg台だ。もっと不利な立場の人もいる。アントニオ(・ジョビナッツィ)も70kg台だ。僕はいつも、これを言っている」

 今年6月のル・マンでカラドは、ドライバーの体重に関する不公平さが、F1世界チャンピオンのマックス・フェルスタッペンが将来ル・マンでレースをするのを思いとどまらせる可能性があると示唆していた。

 バーレーンで、それ以来変化がないことに驚いているかと尋ねられた彼は、「誰がやろうと、彼らには明らかに理由があり、僕はルールを尊重することしかできない。しかし、結局のところ、それは公平ではない」と答えた。

「もっと公平で、平等になるようなルール変更を望む。僕らがバランス・オブ・パフォーマンス(性能調整=BoP、の数値)を受け取るとき、そこには(車量の最低重量について)プラスマイナス1〜2kgの差が記載されているけど、ドライバーの体重差は20kgもあるんだ」

「ル・マンでは、1周あたり1.5秒差だ。これで状況が分かるだろう」

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