タイトル争い最終戦で「まさかの大苦戦」の牧野任祐。悔しさが溢れるキャリアハイのシーズン

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2024年11月11日 07:50  AUTOSPORT web

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予選Q1では速さを見せていたものの、その後の伸びを欠いて苦戦してしまった牧野任祐
 今季のスーパーフォーミュラ最終戦、第9戦JAFGP鈴鹿、チャンピオン争いは坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)と、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)の一騎打ちとなったが、牧野は最後の予選では牧野がまさかの10番手と低迷。決勝でふたつ順位を上げて8位となったものの、2024年のタイトル争いは敗れることになった。チームメイトの太田格之進が2連勝を飾っただけに、悔しい敗戦となった牧野、その敗因はなんだったのだろうか。

「土日のレース、両方ともQ1からQ2にかけてのタイムが伸びなかった。でもそれは今回の鈴鹿ラウンドに限らず、Q2でのタイムの伸びしろが少ないなというのはあって、そこを本当にいろいろと試行錯誤しながらやっているのですけど、特に今日のQ2に関してはかなり難しいバランスになってしまいました」

 まずは最終戦の予選について話す牧野。予選Q1ではA組で2番手タイムをマークして好調そうに見えたただけに、たしかにQ2の10番手は不可解だ。

「Q1の時からなんとなく、その予兆はあったのですけど、(スーパーフォーミュラ)ライツのレースの後に走ったので、その路面(に乗るゴム)の違いとかもあるのかなと。Q2に向けて普通にアジャストしてやったことが、あんまり良い方向に行かなかったのかなと思っているのですけど、正直、これといった原因はわかっていないです」

 決勝では、タイトルを争う坪井が予選3番手で1ポイントを稼いだことで、坪井がわずか0.5ポイントを獲得すればチャンピオンが決まるという、牧野にとっては厳しい状況となってしまった。牧野は優勝することがマストの状況だったが、予選10番手から、どのような戦略、そしてターゲットでレースに臨んだのか。

「いやもう、本当にチャンピオンを狙いに行くなら、ピットインのタイミングを引っ張らないと(セーフティカーでの大逆の)可能性はないというのは重々、承知でしたけど、引っ張れるポテンシャルがなかった。もう前半がかなりキツくて。あのまま引っ張っても、自分ではもう何も起こせない状態だったので、それよりも周りにいるクルマを少しでも多くオーバーテイクしようというので、あのタイミング(12周めの早い段階)のピットインになりました」

 苦しい状況の中でも牧野は少しずつ順位を上げ、ファイナルラップに入る時には7番手だったものの、そのファイナルラップでは後方の岩佐歩夢(TEAM MUGEN)にオーバーテイクを許す結果となってしまった。

「最後に抜かれたのは、OTS(オーバーテイク・システム)の情報に関してチームと噛み合っていなくて、僕はもう相手のOTSが切れたと思っていたんですよ。それでファイナルラップに入るストレートで押して使い切ったのですけど、僕のOTSがなくなった130Rの手前で(相手に)OTSを使われてオーバーテイクされました。ちょっと、どういう経緯で情報が噛み合っていなかったのか、僕も確認すればよかったのですけど、うまくいかなかったですね」

 チャンピオン争いには敗れたものの、今季の牧野は初優勝を遂げて、スーパーフォーミュラではランキング3位のキャリアハイのシーズンとなった。だが、牧野にはそのことを喜ぶ雰囲気は見られなかった。

「悔しいですね。チャンピオンの権利があって、やっぱりあの6号車(太田格之進)の速さを見ると、僕にもチャンスはなくはなかったはずなので。ただ、今回本当にうまくいかなかったなという印象がかなりあります。本当に大苦戦した。今シーズンの途中からの流れだと考えにくいくらいの大苦戦だったので……最後の合わせ込み、難しいですね。特に鈴鹿は開幕もそうでしたけど、鈴鹿に対してネガティブが多いなとシーズンが終わってみて感じた部分ですので、キャリアハイのシーズンとはいえ、悔しい結果かなと思います」

 牧野を担当するDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの杉崎公俊エンジニアも、今回のクルマのパフォーマンスに首を傾げる。

「昨日からコンディションが変わってアジャストしていますけど、何が良くて、何が良くなかったのか、まだわかっていない状態です。クルマの根本的なところは変わっていないので、6号車との差も原因がわらかないです」

 最後に、牧野にチャンピオンを獲得した坪井と36号車VANTELIN TEAM TOM’Sの印象を聞いた。

「去年(宮田莉朋がドライブ)からそうですけど、やっぱりアベレージでかなり速い、強いというのはありますし、特にレースでの強さは感じています。今年、坪井選手になって、なんとなく、それまではスタートとかでバタバタしているイメージがあったのですけど、今年はスタートも無難に決めている。そういうのを含めて、トータルのパフォーマンスがかなり高いなと。シーズン全体で考えた時に、やっぱり強いなという印象を改めて感じました。来年はそこに挑んで、倒せるように頑張っていきたいなと思います」

 チャンピオン争いに敗れたとはいえ、今季、初優勝を含めて大きなインパクトを残した牧野の2024年のスーパーフォーミュラ。その目線は、すでに来シーズンに向けられていた。

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