「愚痴を言ってる暇はない」加藤登紀子 40代で乳がんを経験…50代で迎えた人生の“転機”

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2024年11月11日 11:10  web女性自身

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「いま、時代が鬱陶しいんですよ。独裁者が増えて戦争ばっかり繰り返す……。なんか突き抜けて見えてくるものは、悪い要素ばかりじゃないですか。私たちの世代は、戦後すごく頑張った世代で、明るく楽しい未来を期待した世代でもあるんです。それがどんどん息苦しい時代へと突き落とされていくように感じるの。誰かが明るい未来を切り開く時間の砂時計を、逆さにすることを忘れているんじゃないか……と」



こう危惧するのは、12月で81歳。来年デビュー60周年を迎える、“おときさん”の愛称で親しまれている歌手の加藤登紀子さん(80)。砂時計は、逆さにしないと時が止まったまま。おときさんは、その止まった砂時計を逆さにすれば、新たな時間が始まり、新しい発想が生まれると常に考えている。



世相がどこか暗いいっぽう、彼女自身は「どんどん上昇気流に乗っている」と、とにかく元気いっぱいだ。



「残り時間が限られた砂時計を逆さにすると、砂がうれしそうに一気に落ちますね。人生も同じで、だいたい50代で人生の大きなターニングポイントを迎えます。そこから砂時計を逆さにするイメージで、これまでの常識や固定観念にとらわれないように、停滞していた時間を新たに動かしてみる。そうすると、自分の人生も新しい視点から見直すことができて、前向きで積極的な生き方ができると思いますよ」



■「50代からは自分のために時間を使う」



いまや“人生100年時代”といわれているが、その半分の50歳前後は、多くの人が自分の健康状態や仕事、家族関係など、人生における転換点を迎えるタイミング。



「私も47歳のときに乳がんになったり、子育てでも苦労しました。50歳を過ぎてからは“何歳まで歌を歌えるんだろう”と、自問自答したことも。子どもが自立していく中で、これからの自分の人生についてあれこれ考えたのが、紛れもなく50代でしたね」



子育てが一段落し、子どもが独立したりすると、親にとっては自分の時間がようやくつくれるようになる。このタイミングで、これからの新しい人生をどう生きるか。真剣に向き合うチャンスだと、おときさんは話す。



「子どもを持つ女性の場合、自分がやりたいことを犠牲にしながら家庭を守る、その大きな負担感を背負ったまま50代になる。そしてようやく自分づくりの時間ができたとき、これまでの人生は何だったのか。なんだか自分は振り回されただけの人生だった、と感じる人も少なくありません。



でも、振り回された人生だったとしても、大変な子育てをやり遂げたのだから、それは素晴らしいこと。だから50代からは、自分らしく生きるための時間を使う。そして新しい自分づくりに専念する。残りの後半戦、人生をバラ色にするためにも愚痴を言ってる暇はないですよ。



心の中で、自分自身の砂時計を逆さにして、人生のリスタートをしてもらいたいですね」



“生きる”ということは、積極的に時間を前に進めること。そうすることで、自分の新しい時間に出合うことができるのだ。



「50代になって夫と向き合っても何も生まれません(笑)。結局、自分のことをいちばんよくわかっていて、最後まで大切にできるのは自分しかいない。人間はひとり。だから何が幸せかも、自分自身で決めればいい。そうやって私は生きてきましたから」



そんな彼女の“人生訓”ともいうべき、最新著書『「さ・か・さ」の学校 マイナスをプラスに変える20のヒント』(時事通信社)には、波瀾万丈の人生を生き抜いてきた、おときさん流の“さかさ思考”の生き方が実体験とともにつづられている。



“さかさ思考”とは、常識をひっくり返して、新しい視点から物事を見たり、考えたりすること。おときさんは、年齢を重ねるごとに新たな発見や気づくことが多くあり、人生にとって“さかさ”の視点はとても大切だと実感しているそうだ。



おときさんにならって、人生後半を明るく切り開くために、ときには自分の常識をひっくり返してみてもいいかもしれない。



【後編】「脳を喜ばせて元気に」加藤登紀子 人生後半をバラ色にする“ひとりごと習慣”へ続く

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