ビクターの“耳をふさがない”新作イヤーカフ型イヤフォン「HA-NP1T」の完成度が高い! カラバリと中高音域のクリアさ、価格に魅力あり

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2024年11月14日 12:31  ITmedia PC USER

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ビクターからイヤーカフ型の新製品「HA-NP1T」が登場。写真はティールブルー

 JVCケンウッドが11月21日にビクターブランドから発売する「HA-NP1T」は、豊富なカラーバリエーションや、かわいらしいデザインが特徴のイヤーカフ型ワイヤレスイヤフォンです。イヤーカフ型イヤフォンをいろいろ試している筆者は先行して製品を体験していますが、これ、かなり良いです。


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 最初は女性からのウケが良さそうなデザイン一点突破の製品かなと思いきや、音質や装着感などイヤーカフ型イヤフォンとしての質もトップレベルでした。既に人気を集める他社製品に強力なライバル出現となりそうです。びっくり!


●カラバリとデザイン


 HA-NP1Tは“ながら聴き”ができる「nearphones」シリーズの新製品で、メーカーは“アクセサリー感覚のイヤーカフ型ワイヤレスイヤフォン”とうたっています。カラーバリエーションは秋冬に似合いそうな5色(ティールブルー、コールブラック、アイスグレー、マルーン、オフホワイト)が用意されています。耳に挟む2つの部品をつなぐクリップ部分の色もそれぞれ変更されており、こだわりが感じられます。


 他社のイヤーカフ型イヤフォンでこうした色合いの製品はなく、デザイン面から本製品に興味を持つ人も多いでしょう。どの色も落ち着いているため、性別を問わず着けられると思います。ちなみに、公式サイトに掲載されている商品写真はライティングがしっかりしているのか淡い色合いですが、ティールブルーの実物は思ったより濃いめでした。


 何より、目を引くのがビクター製品でおなじみ、ニッパー君(犬)のかわいいロゴ。これはずるいですね。蓄音機から流れる亡き主人の声を聞いているというエピソードを知っていると、思わず泣けてきますよね(割愛)。


●装着感は?


 イヤーカフ型イヤフォンは、1日中着けっぱなしにするような使い方に適していると筆者は思っています。つまり長時間着けても耳が痛くならないことが最も重要な要素です。


 HA-NP1Tはフレキシブルアジャストという機構によって、ニッパー君のロゴが印刷されている側の本体が可動して耳に固定されます。他社製品は柔らかい素材のクリップ部分を広げて耳を挟むタイプが多いので、1つの差別化ポイントになっています。


 気になる実際の装着感ですが、「装着していることを忘れそうになる感覚」は十分に実現されており、とても快適です。フレキシブルアジャストで耳を挟む強さが適切なのか、8時間装着しても不快感はなく、頭を振っても落ちそうになることはありません。これなら運動にも安心して使えるでしょう。


 そして筆者がイヤーカフ型イヤフォンを評価する上で基準にしている人気製品「HUAWEI FreeClip」との相対的な比較ですが、HUAWEI FreeClipと交互に装着を試してみると、HA-NP1Tはほんの少しだけ重く、挟む力が強く感じられることに気付きました。


 しかし、実際の重量はHA-NP1Tが片耳約4.9g、HUAWEI FreeClipが片耳約5.6gと、不思議なことにHA-NP1Tの方が数値上では重いのです。おそらくですが、HUAWEI FreeClipは本体の片方が球体で角度が稼げているため、最低限の圧力でうまく耳に引っ掛けられている構造が要因かもしれません。本当にわずかな差ではありますが、“装着していることを忘れそうになる感覚”はHUAWEI FreeClipが少しだけ勝っています。


 HA-NP1Tの本体には物理的なボタンを搭載しており、1回押し、2回押し、3回押し、4回押し、1秒長押しで再生/停止、曲送り/曲戻し、音声アシスタントの起動、低遅延モードのオン/オフ、サウンドモードの切り替え、通話といった機能を呼び出せます。タッチセンサー式を採用する製品より確実に操作しやすいです。IPX4相当の防水機能も備わっています。


●気になる音質は……


 続いて大事な音質について。イヤーカフ型イヤフォンはじっくりと音楽を楽しむというよりは、“ながら聞き”がメイン用途です。とはいえ、それなりの質は欲しいと思うのが普通でしょう。


 HA-NP1Tは大口径と言ってもいい10mmのドライバーユニットを搭載しています。メーカーが「クリアな高音質サウンド」と宣伝している通り、中高音のボーカルやメロディがくっきり聞こえやすい傾向の音が出ています。


 HA-NP1Tを初めて装着したときに流れた(流ちょうな)日本語のアナウンスがイヤーカフ型イヤフォンにしてはあまりにクリアだったので、わくわくしながら音楽を再生したのですが、まさに期待通りといったところ。


 中高音域の限界(これ以上の音を出したら音割れしそうなところ)を感じさせず、どこまでも伸びやかに音が響いて気持ちよく聞けそうな余裕さは、HUAWEI FreeClipで得られなかった感覚なので、正直びっくりしました。イヤフォンに興味がない家族にも試聴してもらいましたが、「HA-NP1Tの音が好み」と言っていました。


 さらに専用アプリ(iOS、Android)でサウンドモードを「NORMAL」「HIGH」「BASS」から選択して切り替えられます。HIGHを選ぶことでボーカルがさらに前へ出てくるので、イヤーカフ型イヤフォンであることを忘れるほど楽しく聞けます。


 一方で、低音域についてはサウンドモードでBASSを選んでも控えめな印象でした。低音の量感や質感をそれなりに味わいたいのであればHUAWEI FreeClipに軍配が上がりますが、HA-NP1Tのくっきりとした音に慣れてしまうと、HUAWEI FreeClipは中高音域やボーカルが曇って聞こえるかもしれません。


 低音域の迫力よりも、女性ボーカルやアニソンなどの中高音域を気持ちよく聞くことを優先したい、もしくは動画視聴やオンライン会議で声をしっかり聞き取りたいのであれば、現時点でHA-NP1Tを強くおすすめできます。


 もう1点気になったのが音量の低さです。実用上の問題はありませんが、他の製品と同じ音量を出そうと思ったときに、接続した本体の音量を比較的高めに設定する必要がありました。


●実はすごいマイク性能


 商品の売りとしてあまり挙げられていませんが、マイクの質も高いと感じました。WindowsのPCとペアリングして、Windows標準のサウンドレコーダーでしゃべりを録音してみました。周囲では音楽を鳴らしています。


 比較対象のHUAWEI FreeClipも決して悪くはないのですが、音楽(ノイズ)の除去が荒く、声も少々かすれて聞こえます。一方、HA-NP1Tは声の質を保ちながらうまく音楽を除去できています。


 ついでに本体のボタンで「マイクのオン/オフ」という操作もできるので、オンライン会議で積極的にイヤフォン本体のマイクを使おうと思わせる品質を持っていると感じます。


●バッテリー動作時間について


 HA-NP1Tはイヤフォン単体で8時間+バッテリーケースで16時間と、計24時間使える仕様です。イヤーカフ型を始め長時間装着しやすいオープンイヤー型イヤフォンにおいて単体でのバッテリー持ちは重要です。


 HA-NP1TをiPhone 16 Proと接続して音楽再生したところ、右耳は7時間50分、左耳は8時間30分の連続再生が可能でした。環境にもよると思いますが、これなら生活のオンタイムに着けっぱなしという使い方が十分に可能です。


●機能面について


 HA-NP1Tの対応コーデックはSBC/AACで、マルチポイント接続に対応しています。PCとスマホを同時接続し、音が流れた方に自動で切り替わって再生できます。こちらも“ながら聞き”イヤフォンにはほぼ必須の機能ですが、問題なくスムーズに動作しました。


 装着検知センサーは搭載されていないので、耳から外したら自動で音楽再生が止まるといった機能はありません。装着しっぱなしで使うことが多く、物理ボタンで確実に再生/停止できるのであまり気になりませんでした。


●イヤーカフ型イヤフォンがさらに盛り上がってきた


 他の記事でも触れた通り、イヤーカフ型イヤフォンは「高価だがHUAWEI FreeClipのように製品クオリティーが高い」と「安価だが製品クオリティーが著しく低い(ノーブランド品など)」の2択という状況です。


 今回試したHA-NP1Tは、定価で1万9800円と、高いクオリティーと価格のバランスが取れた製品に仕上がっています。充電ケースがワイヤレス充電に対応していないなど、ハイエンドモデルのような機能は一部省かれていますが、音質や装着感、バッテリーの持ちなど、必要な要素はハイレベルで、デザインやカラーバリエーションなど独自の魅力も持っています。王者HUAWEI FreeClipと十分に張り合えるポテンシャルを持っていると感じました。


 まずデザインで興味を持ったとしても、購入を検討して損はしない仕上がりです。あっぱれビクター!


(製品協力:JVCケンウッド)



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