男性用エステの客に性的サービスを持ち掛け、「罰金」を脅し取ったとして男女9人が逮捕された事件で、警視庁は数カ月間にわたり、相次ぐ被害の詳細を分析するなどし、組織的背景があるとみて捜査を進めてきた。
捜査関係者によると、警視庁が組織的な「美人局(つつもたせ)」との見方を強めたのは7月、東京・赤坂で発生した暴行事件がきっかけだった。エステの男性客に「罰金」の支払いを迫ったグループのメンバーとみられる20代の男=公判中=を暴行容疑で現行犯逮捕し、本格捜査が始まった。
捜査を進めると、今回摘発したエステ店4店は、いずれもデリバリーヘルスとして風俗営業許可を取得し、申請名義人も同一人物とみられることが判明。都内で同種事案の被害が相次ぐ中、誓約書の書式も似ており、同一グループが関与している可能性が浮上した。
密室でサービスが行われるエステ店では、女性従業員が意図的に「無理やり性行為をされた」と訴えた場合、客側が「相手から持ち掛けてきた」と主張しても、不同意性交などの罪に問われる可能性がある。男性客は「女の子が嫌がる行為をしたら罰金」などとする誓約書にサインさせられており、捜査幹部は「個別の事件を見ると客が悪いように見えかねない」と指摘する。
ただ、連続する同種被害を分析し、同一グループによる組織的犯行を疑ったことで、「『客をはめてやろう』という(店側の)意図が見えてきた」(捜査幹部)。警視庁は上位組織があるとみて、実態解明を目指す。