第71回マカオグランプリ ウーゴ・ウゴチュクウ(R-ACE GP) 第71回マカオグランプリのメインレース、FIAフォーミュラ・リージョナル・ワールドカップの決勝レースが11月17日に行われ、マクラーレン育成のウーゴ・ウゴチュクウ(R-ACE GP)がポール・トゥ・ウインで優勝を飾った。
2位にオリバー・ゲーテ(MPモータースポーツ)、3位にノエル・レオン(KCMG・IXO・バイ・ピナクル)と、予選Q2から予選レースの上位3名がそのまま続いた。日本勢最上位は小林利徠斗(TOM'S Formula)の15位となった。
早朝から強い雨が降り続いたマカオ市街地のギア・サーキット。現地時間12時過ぎに雨が止み、さらにGT3、TCR、GT4といったレースが路面を乾かしたこともあり、路面はドライに。全車がドライタイヤを履いてスタートを迎えた。
なお、前日の予選レースで大クラッシュとなった小川颯太(TGM Grand Prix)のマシンは、サバイバルセルはそのままに、エンジン、ギヤボックスをはじめ多くの部品を交換。ダミーグリッドでの最後の調整を経て、グリッドに着くことが叶った。
現地時間15時30分、15周のレースはセーフティカー(SC)先導でスタートし、2周目にグリーンを迎えた。早めのアクセルオンでウゴチュクウが2番手につけるレッドブル育成ゲーテに0.8秒差を築いて逃げに出る。
しかし、2周目のターン3(リスボア・ベンド)で7番手スタートのジェームズ・ウォートン(ARTグランプリ)がアウト側のバリアにヒットしマシンを止めてしまう。
そこにエヴァン・ジルテール(ARTグランプリ)、ティアゴ・ロドリゲス(エヴァンスGP)、ジェット・ボウリング(キウイ・モータースポーツ)、カイ・ダリヤナニ(エヴァンスGP)、そして、日本とベトナムのハーフで今回はイギリスのライセンスでのエントリーとなったリー海夏澄(ARTグランプリ)、佐藤凛太郎(TGM Grand Prix)らがウォートンを避けきれず接触。
凛太郎はなんとかピットまでマシンを戻そうと試みたが、ダメージは大きく。メルコ・ヘアピンとフィシャーマンズ・ベンドの間でマシンを降り、自身初のマカオ挑戦を終えた。
ウォートンを含む7台が一気に姿を消すかたちとなり、レースは2周終了時点で赤旗中断。また、ウォートンの所属するARTグランプリは3台が揃って2周目にレースを終えた。
なお、中村と小林利徠斗のTOM’S勢はともにクルマにダメージを負ったが、この赤旗中に修理を終えることが叶った。
約20分の中断を経て、現地時間15時57分にSC先導で3周目にレースは再開。なお、この時点で中村が10番手、小川が19番手、小林が20番手につけていた。
4周目からグリーンとなると、ふたたびウゴチュクウが逃げの体制を構築する。しかし、5周目のターン15で中国出身の刘瑞祺(PHMレーシング)がクラッシュし3度目のSC導入に。
8周目にグリーンとなると、ここでもウゴチュクウは完璧な蹴り出しでレッドブル育成ゲーテに付け入る隙を与えない。
一方、中村はクーパー・ウェブスター(エヴァンスGP)にかわされ11番手に後退するが、ウェブスターの背後をキープする。また、18番手の小林は19番手小川と日本人同士の接近戦を展開する。
そんななか、11周目のターン1立ち上がりで小川のマシンがステアリング系のトラブルに見舞われる。小川のマシンはこれでコントロール困難な状況となったが、幸いどこにもぶつからず、ストレート上でストップ。これでレースは4度目のSC導入を迎えた。
なお、9番手走行中だったテオフィル・ナエル(サンテロック・レーシング)にブラック&オレンジフラッグが振られ、ナエルはピットイン。これで中村が10番手にポジションを戻す。
13周目、残り2周でレースは再開。しかしそのリスタート直前、中村は先行するウェブスターが加速したことを確認しアクセルを踏んだが、ウェブスターが減速。そこで追突するかたちとなってしまう。中村は左フロントサスペンションを損傷し、マシンを止めた。
しかし、これで波乱が終わりを迎えないのがマカオだった。ファイナルラップのリスボア・ベンドで、4番手走行中のフレディ・スレーター(SJMセオドール・プレマ・レーシング)が3番手のレオンに仕掛けた。しかし、オーバースピードでそのままバリアにクラッシュ。
また、ターン22でマティア・コルナギ(MPモータースポーツ)がマシンを止めたこともあり、ファイナルラップにSCが宣言。SCチェッカーというかたちで、史上初のFRワールドカップは幕を閉じた。
ウゴチュクウがポール・トゥ・ウインを飾り、感情の起伏をなかなか見せなかった男が、マイクの音が割れるほどの歓喜の声をマカオに響かせた。日本勢は小林が完走し15位となった。
この週末、悪天候、アクシデント、マシントラブルに悩まされる結果となった日本勢だが、このマカオで得た経験や学びは、今後のレースキャリアで活かされるに違いない。
2025年の第72回大会において、ふたたびグランプリレースを戦う日本人がマカオに現れることも、楽しみにしたい。