日本維新の会の代表選が17日、告示された。知名度の高い吉村洋文共同代表(大阪府知事)を軸に、3人の国会議員を交えた論戦がスタート。10月の衆院選敗北を踏まえ、創業の地である大阪へ「回帰」するのか、引き続き「全国政党化」を目指すのか、基本路線が大きな争点となる。
「全国おしなべて広く立てるやり方は今の維新の力にそぐわない」。17日、4候補の合同記者会見に臨んだ吉村氏は来年夏の参院選に関してこう指摘。維新流の「身を切る改革」に立ち返るよう訴え、候補者の絞り込みに言及した。
大阪市長を経て府知事に就いた吉村氏は、維新の中軸を占める「大阪組」の代表格。国政より府知事や市長を押さえることを重視する府議や大阪市議らの強い支持を受ける。50人の推薦人は全員が大阪の国会議員、首長、地方議員だ。
一方、神奈川県知事の経験もある松沢成文参院議員(神奈川選挙区)はあくまで国政の「第三極」を目指す立場を強調した。「1人区は(他の野党に)協力していいが、3人区、4人区は維新が議席を必ず取る戦いをしなければならない」と主張。首都圏や北海道、愛知県、福岡県といった都市部を中心に引き続き党勢拡大を図るべきだとの考えを示した。
同様に神奈川を地盤とする金村龍那衆院議員(比例代表南関東ブロック)も「全国政党化へしっかり戦っていくべきだ」と表明。空本誠喜衆院議員(広島4区)は「地方と大阪、首都圏の連携を図りながらこの国のかたちをつくっていく前向きな政党にしたい」と語った。
衆院選で維新は5議席減。本拠地の大阪以外は苦戦を強いられ、特に東日本は小選挙区で全敗に終わった。比例代表の得票も前回2021年の800万票超から500万票余りへ37%も減らした。「大阪城の堀から抜け出せなかった」。東日本の落選候補の一人はこう総括する。
17日投開票の兵庫県知事選でも、維新出身の前参院議員が勝敗に絡めず、党の存在感を示せなかった。
こうした結果を受けて戦略の練り直しを迫られているのが現状。金村、空本、松沢の3氏も、参院選に「選択と集中」の方針で臨むべきだとの考えだ。
もっとも、他の野党に候補擁立を譲れば、これまで地盤が弱かった地域での組織づくりが進まなくなる可能性がある。ある党関係者は「安易に調整すれば、東日本で候補者が激減しかねない」と困惑気味に語った。