マーロ・エンゲルは、11月17日にマカオで開催されたFIA GTワールドカップのタイトルを決めるメインレースでのまさかの勝利を称賛し、残り2周を切った時点で上位2台が劇的なかたちで脱落したあと、彼らに代わって優勝する「絶好の機会」を与えられたことを認めた。
この勝利により、エンゲルはギア・サーキットで自身2度目のGTワールドカップタイトルと従来のGTカップを含め4度目の優勝を獲得し、メルセデスAMGによるマカオGT“6連覇”を確実にした。
3番グリッドから雨上がりのウエットレースをスタートしたこのドイツ人は、序盤のうちに4番手スタートのアントニオ・フォコ(AFコルセSRL/83号車フェラーリ296 GT3)にポジションを奪われたが、同じくフォコにかわされたドリス・ファントール(チームWRT/32号車BMW M4 GT3)とわずかに接触した後、3番手に返り咲く。
そして、残り3周でフォコがポールシッターのラファエル・マルチェッロ(TOROレーシング・パワード・バイ・MCG/1号車BMW M4 GT3)からリードを奪ったことで、最終的にエンゲルがトップに立つための扉が開かれる。フェラーリとBMWのドライバーはリスボア・ベンド(ターン3)のブレーキングで競いあうが、両車とも止まりきれずランオフエリアに吸い込まれていったためだ。
「ペースは素晴らしかった」とレースを振り返ったエンゲル。
「彼らを追い詰めることができたよ。しかし、メルコ・ヘアピンからは、彼らに別れの手を振ったようなものだった。そこからターン3まで引き離され続けるだけだったからね」
「ターン1とターン2でできる限りのリスクを取っていたにもかかわらず、本当にチャンスがなかった。動きを考えるチャンスさえなかったほどだ」
「彼らがバトルを始めてすぐにそれが起こったとき、僕たちにとっては絶好の機会の訪れだった」
エンゲルは自身の功績を振り返るように求められると、「信じられないほどの感情だ」と語った。
彼はさらにこう付け加えた。「確かに信じられないようなレースだったし、たくさんのことが起きた。確かに素晴らしい気分だ。正直に言って、このような結果はまったく予想していなかった」
「とくにドライコンディションでは(優勝を目指して)戦うチャンスがなく、表彰台でさえ難しかったはずだ」
「雨が唯一のチャンスだと思っていた。アントニオ(・フォコ)とレッロ(マルチェッロの愛称)がコーナをまっすぐ進んでいったとき、すべてがうまくいったと思った。それが僕たちに必要なことだったんだ」
「メルセデスAMG・チームGMRとメルセデスAMGカスタマーレーシングの皆に心から感謝したい。彼らは週末を通して素晴らしいクルマを提供してくれた。最終的にはそれが報われた。僕たちは大喜びしているし、個人的にはマカオが大好きだ。この場所はユニークな思い出を作る、特別な場所みたいだ」
■ファントールとの接触について語ったエンゲル
エンゲルは、2024年のGTワールドカップでリタイアしたふたりのうちのひとりであるファントールとの衝突で5秒のタイム加算ペナルティを受けたあと、2位のアウグスト・ファーフス(チームKRC/89号車BMW M4 GT3)に6秒差をつけてフィニッシュした。
「ドリス(・ファントール)に対しては謝りたいと思う」とトーンを下げたエンゲル。
「僕たちが接触したのは残念だが、決して故意ではない」
「僕はオーバーテイクするために動いた。彼は距離を縮めようとした。そして僕たちはぶつかった」
「彼は直後にガードレールにヒットしたと思う。(そのことについて)彼に申し訳なく思っている」
■130周年を祝う記念すべき勝利に
メルセデスAMGカスタマーレーシングの責任者であるステファン・ウェンドルは、日曜日にドイツブランドの手にわたったFIA GTワールドカップタイトルは「少しの幸運」によってもたらされたと認めた。
「表彰台の頂点に立つことになるとは想像していなかった」とウェンドル。
「GTファミリーとしては9回目の勝利で、クルーとクルマにとっては6回連続の勝利となった。これは本当に素晴らしいことだ」
「全体的に非常にトリッキーなイベントだったため、今回の勝利はさらに満足感がある」
「予選は赤旗の影響を受けてなんとかトップに近づくことができたが、今回は自分たちのペースだけでは勝つことが無理だと認識していた」
「私たちがトライしたのは、ドアが開いたときに備えてトップのクルマの近くに留まることだった。(勝てたのは)少し運が良かっただけだ。最後にドアが開いたが、私たちはそのチャンスをものにする準備を整えていた。本当に、本当に素晴らしい」
「私たちのチームや、グループMレーシングの働きに本当に満足している。彼らは多くのことを提供してくれた。メルセデスのモータースポーツ130周年をワールドカップの勝利で飾れるなんて、なんと素晴らしいことだろう」