バルセロナ公式テストは小椋藍を含めた新役者が勢揃い。A.マルケス最速も日本メーカーがトップ10入り

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2024年11月20日 11:20  AUTOSPORT web

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ペドロ・アコスタ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)/2025MotoGPバルセロナ公式テスト
 11月19日、MotoGP第20戦ソリダリティGPが開催された地のスペイン・バルセロナに位置するカタロニア・サーキットにて、早くも2025年シーズンに向けたテストが開催された。7時間に渡って行われたセッションでトップタイムをマークしたのは、アレックス・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)だった。

 2024年シーズンのロードレース世界選手権は計20戦全てが終了し、MotoGPクラスはホルヘ・マルティンがチャンピオン争いを制して幕を閉じた。最終戦の熱が冷めぬ間の2日後、11月19日には早くも来シーズンに向けたテストを実施。なかでも注目なのは、2025年シーズンからMoto2クラスから新たにMotoGPクラスへ昇格するルーキーライダー3名のMotoGPマシン初走行だ。

 ルーキーとしては、日本勢かつ2024年Moto2チャンピオンに輝いた小椋藍が、トラックハウス・レーシングでアプリリアRS-GPを初ライド。さらにフェルミン・アルデグエルがプルタミナ・エンデューロVR46レーシング・チームより、ソムキャット・チャントラがイデミツ・ホンダLCRよりMotoGPマシンデビューとなった。

 また、このテストは2027年からに技術規則が大幅に改正されたことを受け、2025年から2年間エンジンが凍結されるドゥカティ、KTM、アプリリアにとっては重要なものとなる。そのため、フル参戦ライダーに加えてテストライダーも多数投入され、多くの周回数を刻む姿、そして各メーカーが新パーツのテストも遂行していた。

 まずは、ルーキーと同様に注目されていたマルティンのアプリリアRS-GP初走行だ。この日はアプリリアのテストライダーであるロレンツォ・サバドーリも参加しており、彼がシェイクダウンした後にマルティンが新しい2025年型アプリリアRS-GPへ乗り込んだ。ゼッケンはパーソナルナンバーの『89』を使用しており、現行型と新型の双方を乗り比べ。

 早々に5コーナーで転倒し肩を痛めていたようだが、77周を走破。彼が2025年はチャンピオンナンバー『1』か、はたまた『89』を継続して使用するのか、気になるところだ。チームメイトとなるマルコ・ベゼッチ(アプリリア・レーシング)もアプリリアRS-GPを初ライド。マルティン同様のアイテムを試していたようで、84周をこなして13番手で終えた。

 アプリリア勢では、先ほども触れたようにMotoGPマシンデビューの小椋が乗り込んだ。午前に2コーナーでクラッシュがあったものの最多86周を消化し、慣れることを優先に取り組んでいた様子。全体の21番手で終えており、自己ベストは1分40秒946となった。チーム3年目となるラウル・フェルナンデス(トラックハウスMotoGPチーム)の元には、2023年型の空力が搭載された2024年型と、2024年の完全最新型が手配された。電子制御を中心としたテストプログラムに取り組み、アプリリア勢トップの5番手で終えている。

 変わらず好調ぶりを発揮し、上位を占めているドゥカティ勢も新顔が多数。一番の注目株は、やはりホンダからドゥカティ移籍2年目でワークスチームに乗り込むマルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)だろう。今季3連覇こそ流すものの、最後までタイトル争いを演じたフランセスコ・バニャイアと2025年からチームメイトとなり、強力タッグが誕生する。

 マルク・マルケスはまだ完璧なものではなかったが、すでにスーツやヘルメットなどの全身装備をスカイブルーからドゥカティレッドに変更。ドゥカティ デスモセディチの現行モデルと2025年モデルをテストし、最後1時間ほどでタイム出しに移行。最終的に1分39秒454の4番手につけ、幸先のいいスタートを切った。一方のバニャイアはドゥカティレッドではなく、2009年第15戦オーストラリアGPの勝利を彷彿とさせるような白色のマシンでテスト。マルク・マルケスのタイムを0.056秒上回り、4番手で終えた。

 トップタイムのアレックス・マルケスは、ドゥカティ デスモセディチGP24に初搭乗し、唯一の1分38秒台をマーク。このラップは、第20戦ソリダリティGPにおけるプラクティスと予選Q2のベストタイムを上回っていた。このことから、課題であった直線でのブレーキングが少しずつ克服できつつあるのかもしれない。チームメイトかつルーキーのアルデグエルには2024年型が供給された。転倒を喫する場面もあったが、58ラップを周回して20番手で初乗りを終えた。

 プルタミナ・エンデューロVR46レーシング・チームからは、新加入のフランコ・モルビデリが参加。新しい環境に慣れることが最優先だったようで、この日は7番手で終了させた。また、チームメイトは継続参戦のファビオ・ディ・ジャンアントニオとなるが、肩の手術で不在のため代役参戦したミケーレ・ピロが引き続き代行していた。

 またアプリリアやドゥカティとともに2025年から2年間エンジンが凍結されるKTM勢は、エキゾーストバルブが組み込まれた新しいエキゾーストを各1台に搭載していたとのこと。他にもフロントフェアリングやシートユニットがアップデートされたようだ。また、テストライダーのダニエル・ペドロサとポル・エスパルガロもサポート役として招集されていたようで、新パーツの評価に期待を寄せていた様子だ。

 KTM勢トップは、総合6番手のブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)だった。電子制御を中心としたテストプログラムに取り組みつつ、トップから0.705秒差につけた。チームメイトとして新たに加わったペドロ・アコスタは、ゼッケンナンバーを『31』から『37』に変更。ファクトリーマシンをライドし、72ラップを消化して9番手で終了。

 また、KTMは2025年からレッドブルKTMテックが参戦するが、こちらもファクトリーマシンが供給される。ラインアップは新たにドゥカティからエネア・バスティアニーニとアプリリアからマーベリック・ビニャーレスが移籍してKTM RC16に乗り込んだふたりは、着実にメニューを消化。ビニャーレスは74周、バスティアニーニはクラッシュがあったものの55周をこなした。

 トップ10に目を向けると、日本メーカーの姿が数名あった。最上位にはヤマハのファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)が2番手につけた。こちらは2025年も体制に変更はなくアレックス・リンスとともに継続参戦することから、今回のテストでは各3台が供給。そのうちの1台は新シャシーが搭載されていたようだ。

 その中にはテストライダーに就任する予定のアウグスト・フェルナンデェスもチームに同行しており、姿が目撃されている。クアルタラロはトップから0.396の2番手、リンスは0.765秒差の8番手と1秒以内につけた。そんな彼らには、2025年から新たにサテライトチームとしてプリマ・プラマック・ヤマハが新加入し4台体制に。チームとしてはドゥカティからヤマハに乗り換え、YZR-M1初走行となった。

 ジャック・ミラーとミゲール・オリベイラが今回のテストでYZR-M1に乗り込んだ。オリベイラは17番手、ミラーは22番手となったが、来シーズンに向けてアジャストさせる一歩を踏み出した。

 そんなヤマハ勢とともにトップ10内に繰り込んだのは、10番手のヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)だ。65ラップを周回しトップとは0.813秒差だった。チームメイトとしては中上貴晶に変わり、ルーキーのチャントラがホンダRC213Vに初めて乗り込んだ。中上もサポート役としてピットには足を運び、彼の走行を見守っていたようだ。チャントラは26ラップ目の10コーナーで転倒を喫していたが、61周をこなして23番手で初のMotoGPテストを完了させた。

 ホンダファクトリーのレプソル・ホンダ・チームは、ラインアップに変更はなくジョアン・ミルとルカ・マリーニがテストを継続。コンポーネントや新シャシー、以前登場したパーツもテストし比較していたとのこと。また、ミルはAGVからKabutoに変更するのか、新しいヘルメットも被っていたようだ。

 ミルは15番手、マリーニは18番手となったが、メインは再起に向けてのマシンおよびパーツの開発。また、今回は中上の走行はなかったものの、2025年からテストライダーに就任するアレイシ・エスパルガロもテストに参加した。そんなホンダ勢は順位こそ未だ下位ではあるが、さらなるアップデートに向けてデータを収集することに重点を置いていたのだろう。

 ヤマハおよびホンダは2024年シーズンからコンセッション(優遇措置)が適応されており、それを駆使して今季を戦った。依然としてDランクにあるため、来年移行も他3メーカーとは異なり、エンジンの開発が免除される。そのため、公式テストとしては年内最後となるが、プライベートテストも実施されるようだ。ホンダ勢は11月末にヘレスでテスト計画しているとのことで、来季に向けてより一層の準備を進めていくことになる。

 日本メーカーはシーズン終盤にかけて少しずつ右肩上がりな調子を見せていたが、ヤマハもホンダも上位との差は大きい。両者が再びトップに返り咲くためには、より一層の開発を進化が必要だ。その全貌が明らかとなるのは1月31日からセパン・インターナショナル・サーキットで開催されるシェイクダウンおよび公式テストとなりそうだ。新たなラインアップおよび、日本メーカーの戦闘力向上に期待したいところだ。

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