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<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
ジブリ歌手井上あずみ(59)の復帰コンサート「アニソン文化祭2024」を取材した。
記者は井上と知り合ってから25年ほどになる。きっかけは「ラウドネス」のドラマーで、08年に肝細胞がんで亡くなった樋口宗孝さんを介してだった。
井上はそのころからお酒が好きだった。普段からワインのボトル2本は飲み干す酒豪だったが、このあたりはジャックダニエルをこよなく愛した樋口さんゆずりかもしれない。
実は、記者も15年に脳出血を経験している。そのため昨年8月、井上が自身のデビュー40周年コンサートのリハで倒れ、その原因が脳出血と聞くと、すぐさま事務所社長に「早期発見、早期リハビリができれば、完全に回復します。僕がそうでしたから」とメッセージを送った。
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だが、記者と事情が異なったのは、開頭手術が必要だったこと。記者が罹患(りかん)した際に最も勇気づけられたのは、同じ体験をした方の言葉だった。その経験があったので、井上のお見舞いに行きたかったのだが、病院にはまだコロナの影響が色濃く残っており、家族さえ面会に厳しい制限が付き、かなわなかった。
井上と再会できたのは、同ライブの開催が決まり、インタビューした今年7月だった。左半身にはまだまひが残り車いす。記者の想像よりも病状は重かった。だが、持ち前の明るさで「私は元気!」と映画「となりのトトロ」挿入歌「さんぽ」の歌詞を引用して話す姿に、少しだけ安心した。
インタビューを終えた記者の正直な感想は「11月の復帰コンサートは時期尚早」だった。実際のコンサートを見ても、それは変わらなかった。「となりのトトロ」をソロで歌唱したが、以前のような声量はなく(これは想定とおりだったが)、愛娘今尾侑夕(20)とともに歌った。
だが、井上が今回復帰コンサートを決意した裏には、歌手としての復帰とは別の思いがあった。それは「病気でも頑張っている姿をみて元気になって欲しい」だった。「なせば成る」と話し、井上自身も「復帰コンサートをやると決めたら、より前向きになれた」と明かした。
自らも「復帰コンサートは早かったかも知れない」と話した。それでも、「元気な姿を見せたかった」と明るく笑って見せた。そんな井上の応援にアニソン仲間の堀江美都子、松本梨香、ドリーミング、谷本貴義が駆けつけたのだった。
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現在も週3回のリハビリ中。目標は映画「天空の城ラピュタ」エンディング曲「君をのせて」を「立って歌えるようになること」。くしくも、同曲は倒れた際に歌唱していた曲だ。「『君をのせて』が歌えるようになったら、自分へのご褒美でワインを…」と話したが、周囲から止められたのは井上らしいなと感じさせるシーンだった。【川田和博】
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