11月21日(木)〜24日(日)にかけて、日本の愛知・岐阜を舞台に2024年WRC世界ラリー選手権の第13戦『フォーラムエイト・ラリージャパン2024』が開催され、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)からは3台のトヨタGRヤリス・ラリー1が出走した。
3台のクルーは、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)となり、それぞれ総合優勝、2位、4位で上位を占める完走を果たしてマニュファクチャラー選手権での世界王座を持ち帰った。
ラリージャパンの最終日は愛知県の豊田市と岡崎市で『額田』、『三河湖』の2本のステージを各2回走行。その途中には豊田スタジアムでの3回目のスーパーSS(スペシャルステージ)、『トヨタスタジアムSSS3』が行われ、5本のステージの合計距離は70.57kmとなった。ラリーは最終日も素晴らしい天気に恵まれ、ステージの路面は一部区間を除いて全般的にドライコンディションとなり、2024年シーズンを締めくくるのに相応しい一日になった。
土曜日のデイ3終了時点で、暫定首位オット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)と38.0秒差の総合2番手につけていたエバンスは、日曜日一本目のSS17で2番手タイムを記録。このステージでタナクがコースオフを喫しリタイアとなったことで、ラリー終了を待つことなくティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)の初ドライバーズタイトル獲得が決まった。
また、タナクのリタイアによりエバンスが総合首位に立ち、オジエも総合2番手、勝田が総合4番手に順位を上げた。
TGR-WRTはデイ3終了時点でマニュファクチャラー選手権首位のヒョンデとの差を15から11ポイントに縮めていたが、タナクのリタイアもあり選手権争いはさらに接戦に。日曜日のみの合計タイムで競われる“スーパーサンデー”ではヒョンデがワン・ツー、TGR-WRTが3、4番手の体制で最終『パワーステージ』に臨むことになり、その時点で選手権は同ポイントで並ぶ熾烈な展開となった。
迎えた最後のパワーステージでは、エバンスが3番手タイム、オジエがベストタイムをマークしたことで、TGR-WRTが合計8ポイントを獲得する。対するヒョンデ勢はヌービルが2番手タイム、アンドレアス・ミケルセン(ヒョンデi20 Nラリー1)が5番手タイムだったことで合計5ポイントを加算。
その結果、TGR-WRTが3ポイント差で選手権首位に立ち、逆転でタイトルを獲得した。TGR-WRTとしてはこれで4回目、トヨタとしては通算8回目のマニュファクチャラーズタイトルとなり、WRC歴代2番目の記録でシトロエンと並んだ。
大きく不利な状況で迎えたラリージャパン2024で、最終日までもつれ込んだ大逆転劇を見せたTGR-WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表は、「ジェットコースターのようなシーズンだった」として最終戦と今季を振り返った。
「ラリージャパンに臨むにあたっては、タイトル獲得のチャンスがまだあることは理解していたが、可能性はそれほど高くなかったと言える」
「それでも、我々は最後の最後まで戦い続け、その上でどうなるのか様子を見るつもりで、実際に最後まで戦いを続け、タイトル獲得に繋げることができた」
「今シーズンの後半には、ラリーの最終盤でポイントを失うという悲惨な日曜日が3回ほどあったんだ。一時は望みが断たれたようにも思われたが、我々は反撃を続け、重要な意味を持つ日曜日を迎えることができた」
「これは、最後まで戦い続けること、決して希望を失わないことの大切さを示すものだ」
こうして2024年のWRCは、トヨタとヒョンデが選手権王座を分け合う形で決着した。2025年のWRCは、1月23日〜26日にモナコで行われる伝統のラリー・モンテカルロで開幕する。