最後のラリージャパンは試練の連続に。眞貝/安藤が6年過ごしたTGR-WRJに別れ「幸せな経験でした」

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2024年11月26日 13:10  AUTOSPORT web

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ダイレクト・オートマチック・トランスミッション(DAT)を搭載するトヨタGRヤリスGR4ラリーDAT 2024年WRC第13戦ラリージャパン
 11月21日から24日にかけて、愛知県と岐阜県を舞台にWRC世界ラリー選手権第13戦『フォーラムエイト・ラリージャパン2024』が開催された。JRC全日本ラリー選手権に参戦してるTOYOTA GAZOO Racing(TGR-WRJ)の眞貝知志/安藤裕一組(トヨタGRヤリスGR4ラリーDAT)は、この国際イベントのJR1クラスに参戦。多くの試練に見舞われながらもフィニッシュを果たした。

「人材育成」と「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」の実践を目的に、DAT(ダイレクト・オートマチック・トランスミッション)を搭載するGRヤリスで全日本ラリーに参戦しているTGR。チームは今シーズン、2023年の知見をフィードバックし、進化を果たした車両でトップカテゴリーのJN-1クラスを戦ってきた。WRCの日本ラウンドであるラリージャパンへのエントリーは、一年の集大成となるものだ。

 全日本ラリー最終戦への出場を見送ったチームは、この間にラリージャパンに向けて、入念なテストを実施。第5戦モントレーまでに蓄積した、ターマック(舗装)ラリーに関する知見や経験を活かし、エンジン制御、そしてサスペンションを中心に多くの改良を施してきた。

 迎えたラリー本番、オープニングステージとなった豊田スタジアムSSSでアルピーヌA110 RGTと対戦した眞貝/安藤組は、白熱のバトルの末に見事勝利し、会場に詰めかけた多くのラリーファンを沸かせた。しかし、本格的なターマックラリーが始まる22日(金)の朝に燃料系トラブルが発生。SSを走ることなくデイリタイアを余儀なくされてしまう。

 修理を経て23日金曜に再出走を果たしたトヨタGRヤリスGR4ラリーDATは、安定したペースを披露した。ところが、この日最後のステージとなったSS16でふたたびトラブルに見舞われ、デイ3終了を目前に2日続けてのデイリタイアに。

 ラリー最終日、復活を果たした眞貝/安藤組のマシンは、上位クラスの車両を上回る好タイムを連発してみせた。最終的な順位は総合35位、ナショナルクラス10位でラリーをフィニッシュしている。

 なお、今回のラリージャパンは、6シーズンにわたってTGRで戦ってきた眞貝と安藤が同チームから参戦する最後のラリーとなった。現時点で詳細は不明ながら、両選手は来季2025年からラリー活動の新たなステップに進んでいくという。

■DATの楽しさを皆さんに味わっていただきたい

【ラリージャパン2024 終了後コメント】
●眞貝知志(TGR-WRJドライバー)

「残念ながら、かなり予期の難しいトラブルに2回見舞われてしまいました。それでも、修復後のクルマでは本当に気持ち良く走ることができましたし、ラリー2車両の間に割って入るタイムも出せたので、エンジン・ブレーキやサスペンション、4WD制御などを総合的に組み合わせて開発を重ねて、走ってきた成果を示すことができたと思っています」

「とくにもっともチャレンジングだったGR-DATは、初めから完成度の高いシステムでしたが、ラリーという競技フィールドでタイムを詰めていくため、チームの皆さんと一緒に細かいところまでこだわって2年間試行錯誤してきました。最後にはトップレベル競技においても『速く走るための選択』として、“Mレンジ”と“Dレンジ”でタイムが変わらないレベルにまで持っていくことができたので、この楽しさを皆さんにも味わっていただきたいです」

「今回、少しトラブルには見舞われましたが、しっかりしたタイムで気持ち良く走り切るという目標は達成できました。チームの皆さんといいラリーを戦えたと思います。6年もの間、TGRのドライバーとしてラリーに参戦できたことは、幼少期からの夢を超えるような幸せな経験でした。チーム関係者の皆様、コドライバーの安藤選手、そして応援してくださったすべての皆様に改めて深く感謝申し上げます」

●安藤裕一(TGR-WRJコドライバー)

「今回のラリーは、予想外や予定外がたくさん起こり、コドライバーの技量を試されるイベントでした。結果的にはコドライバーのできることは精一杯できたと思います」

「また、“もっといいクルマづくり”の最前線を間近に見ることができ、改めて素晴らしいチームだと感じました。私たちの活動は、自分たちが勝つことだけではなく、世界のドライバーが将来勝つためのクルマを作るという場でもありました」

「眞貝選手もドライバーとして歯がゆい面があったと思いますが、クルマの進化とともに活動意義をヒシヒシと感じられる2年間でした。眞貝選手とふたりで、GR-DATの開発に携われて、とても充実した活動になりました」

●豊岡悟志(TGR-WRJチーム監督)

「距離も長く、世界のクルマやクルーと一緒に走ることができる機会は、選手にとっても特別ですし、チームにとってもいつも以上に力が入りました。また、地元開催であることもあり、応援してくださるお客様も多く、その中で戦えたことはとても嬉しかったです」

「しかし、今回はクルマにいろいろなトラブルがあり、選手には申し訳ないことをしてしまいました。チームとして成長したと思える部分があったとしても、まだまだだと今回の出来事で痛感しました」

「最後に、眞貝選手はご自身がエンジニアということもあり、とてもフィードバックが的確で、活動の中身を濃くして頂きました。安藤選手はラリー参戦のみではなく、社内のラリー教室などでも、ご活躍頂きました。ふたりには本当に感謝しています」

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