11月29日〜12月1日にカタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで2024年FIA F2第13戦が開催される。
9月13日〜15日に行われた前戦バクーから2カ月以上の期間が開いたなかで迎える久々の実戦を前に、宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)は「できることは限られていますが、限られたなかでいつもどおりの準備をしています」と取材会で話した。
というのも、カタールでのFIA F2開催は今週末が史上初となる。なお、F1直下ではGP2アジアで2009年に開催実績があり、その際にはレース1はニコ・ヒュルケンベルグ、レース2はセルジオ・ペレスが制している。
現行FIA F2パッケージでの走行データもないことから、宮田と他のドライバーのコースの習熟度に違いが出ず、宮田にとってはチャンスがあるのではないかと思われたが、そういう訳でもなさそうだ。
「FIA F2としては初開催ですけど、そのほかの車両でテストをしているドライバーは少なくないですね。おそらく、初めて走行することになるのは自分くらいだと思いますので、FIA F2初開催であることがチャンスになるかと言えば、わからないという感じです」と、宮田。
表立って公にされていないが、FIA F2とは異なるフォーミュラカーをルサイルに持ち込み、スポーツ走行でコースの習熟に取り組んだドライバーは少なくないという。ただ、だからこそ、宮田は「限られたなかでいつもどおりの準備」に集中する。
シミュレーターで入念な走り込みを行っているものの、初開催でデータがなく、再現性という部分に不安が残る。それゆえに、宮田は実際に現地を走ったドライバーなどの意見を参考に、準備を進めているようだ。
「いろいろな人の話を聞くと、ルサイルの路面はフラットでタイヤのデグラデーション(性能劣化)が少ないという人もいたり、一方でデグラデーションが大きいと話す人もいたりですね。そこはシミュレーター上では再現が難しい部分ですので、実際に走ってみなければ確かめられないです」
「中高速セクションが多いレイアウトで、高速で曲がるコーナーが連続する部分もあり、ワンミスでリズムを崩すとそこから後に響くという難しさもあります。クルマのバランスもうまく噛み合わないといいラップは刻めないと思います」と、宮田はシミュレーターで得た経験も交えコースの印象を話した。
また、今大会はサクヒール(バーレーン)、ジェッダ(サウジアラビア)以来のトワイライト/ナイトセッションでの開催だ。予選、スプリントレースはナイトセッション。フィーチャーレースはセッション終了からまもなく、もしくはセッション中に日没を迎えるトワイライトセッションとなる。
「ルサイルがどうかはわからないですが、バーレーンは夜のほうが気温が下りコースコンディションは良くなったので、バーレーンの経験からすれば昼の走行よりも夜にかけての走行の方が楽しく感じるかと思います」と、宮田。
「ただ、WEC(世界耐久選手権)を走ったドライバーたちに話を聞くと、コースを照らすライトが眩しく、昼間よりも明るく感じるほどらしいです。眩しさ次第ではバイザーの色を変えたり、バイザーを暗めにして対応することも必要かもしれません」
そんな宮田に、ルサイル戦での目標を尋ねると「まずはトップ10に入ることです」と、応えた。
「初めてのコースで、45分間のフリー走行ですべてを合わせていくことが難しいのはわかっていますが、まずはトップ10に入れるように挑みたいです。そして2024年シーズンの残る2戦を、チームとともに楽しんで戦うだけという感じです」
2024年FIA F2の次戦、第13戦は11月29日〜12月1日にルサイル・インターナショナル・サーキットで開催される。今大会では宮田のチームメイトであるゼイン・マローニがFIA F2ラストレースを迎える。開幕戦から続いたマローニとのチームメイト対決の行く末も含めて、注目したい。