東北電力女川原発2号機(宮城県)の事故時の避難計画には実効性がないとして、地元住民らが東北電を相手取り、運転差し止めを求めた訴訟の控訴審判決が27日、仙台高裁であった。倉沢守春裁判長は差し止めを認めなかった一審仙台地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。
2号機は先月29日、事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)として初めて、13年ぶりに再稼働していた。
訴えたのは、原発から30キロ圏内に住む16人。争点は避難計画の実効性で、一審仙台地裁は、原告側が事故発生の具体的な危険性を立証していないとして、避難計画の内容には踏み込まず請求を棄却した。
これに対し控訴審で原告側は、具体的危険性の立証責任が原告側にあるとした一審判決は誤りで、事故の可能性は立証の有無にかかわらず存在すると主張。周辺自治体が策定した避難計画では、住民の被ばくを防げないなどと訴えた。東北電側は控訴棄却を求めていた。
2号機の再稼働を巡っては、住民側が2019年11月、県と石巻市に再稼働に同意しないよう求める仮処分を申請したが、20年7月に仙台地裁が却下。同10月に仙台高裁が住民側の即時抗告を棄却した。21年5月に住民らが運転差し止めを求めて提訴したが、23年5月に一審仙台地裁が棄却し、原告側が控訴していた。