7月、自身のXに投稿した「ダチョウのものまね」動画が約4500万回再生。一晩のバズでフォロワーも拡大中のアイドルグループ「RiNCENT#」の琴吹ゆずが、自身初となるデジタル写真集『ダチョウのおんがえし』をリリース。
週プレNEWSでは、このデジタル写真集リリースにともない彼女にインタビュー。アイドル界で"ダチョウの人"と呼ばれている彼女の人となりにせまった。
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■私は"ダチョウの人"でやっていくんだ
――「ダチョウのものまね」のバズリから生まれた今回のデジタル写真集。撮影テーマは「ダチョウのおんがえし」でした。
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琴吹 前日いただいた予定表でテーマを知って、めちゃくちゃ笑いました。『ツルのおんがえし』みたいな世界観のストーリー仕立てだったんですけど、まず最初に着た衣装が"ダチョウ風レオタード"で。私のためにいろいろ準備してくださったんだなって、ありがたかったです。
――どんなストーリーだったのか、琴吹さんから説明してもらってもいいですか?
琴吹 ダチョウ牧場でダチョウに会うところから始まって、それからオムライスを作って、川へ遊びに行って......それからデートをしました。こう並べると「いきなりデート?」って不思議ですよね。でも大事なシーンなはずです。これがないと、私じゃなくて「ダチョウのデジタル写真集」になっちゃうので(笑)。
――それだけダチョウ要素満載で撮影したということですね。そんな撮影でしたが、企画誕生のきっかけは、今年の夏に琴吹さんがバズった「ダチョウのものまね」でした。
琴吹 こんなグラビアにまでつながって本当に嬉しいです(笑)。今年の夏、あるアイドルフェスの空き時間に、前日にSNSで見た「ダチョウのものまね」を、メンバーと真似して撮影してみたんです。まずTikTokにアップしたんですけど、せっかくだからとXにもアップしたら......翌朝起きたらなぜかバズってました。
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――「なぜか」ということは想定外だった?
琴吹 そうですね。アイドルなので自撮りとか水着の写真とかを頑張って上げてるんですけど、起きたら自分の顔が一切出ていない、ダチョウ姿の動画がバズっていて。初めての"万バズ"だったので嬉しかったんですけど、「これがバズるのかー」って困惑の気持ちが大きかったです(笑)。
――たしかに複雑そうです。
琴吹 でも、リプライや引用ポストで「愛すべきバカ」とか「こういうのを見るためにXやってるんだよな」みたいな褒め言葉をいただいたり、ちょうどライブツアーの頃だったんですけど、ライブ後の特典会で見たことない長蛇の列が生まれたり。すごくいい反応ばかりだったので、「これはもっと頑張らなきゃ」と。
――その後、バズから1週間足らずでダチョウ牧場へ行って「ダチョウにお礼を言う動画」を投稿したり、ダチョウ姿の琴吹さんと撮影できる「無料ダチョウ写メ会」を開いたり......「頑張らなきゃ」という思いがアイドル方面ではなく、ダチョウ方面に進んでいったのが面白いです。
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琴吹 プロデューサーさんやマネジャーさんからしても、こんな動画がバズるのは初めてだったらしくて。たとえば橋本環奈さんの"奇跡の一枚"みたいに「かわいい」でバズるなら、次に何をしたらいいのかって結構わかりやすいと思うんです。でもダチョウでバズったので、ダチョウで突き進むしかなくて......(笑)。
――これしかないんだ、と(笑)。
琴吹 でも、現場で「"ダチョウの人"ですよね」って声をかけていただいたり、TikTokで色んな方が一緒に"ダチョウダンス"を踊ってくださったり。ダチョウのものまね以降、嬉しいことばかりで。今はもう「私は"ダチョウの人"でやっていくんだ!」って気持ちばかりです!
――アイドルになる前、もともとはニコニコ動画に「踊ってみた」を投稿していた"投稿者"だったんですよね。ニコニコの二大イベント「超会議」や「超パーティー」にも出演していたとか。
琴吹 でも、その中でも注目されない側の人でした(笑)。その頃にステージで踊る楽しさを知ったのが、アイドルに興味を持つきっかけだったんです。といっても、アイドルは「ひと握りの人しかご飯を食べていけない、甘くない世界」だとわかっていたのでオーディションを受けたりはせず。お給料がちょっとよくなるから大学で管理栄養士の資格を取って、地元のドラッグストアに就職したんですけど。
――楽しい世界を知っているのに、あくまで現実的に。
琴吹 そうですね。でも、働き始めてわりとすぐ、自分の生活に「やりたかったことと違うんじゃないか」と思うようになって。......そんな頃、母が亡くなってしまったんですけど、けっこう若くして亡くなったので、私も「人生っていつ終わるかわからないんだなぁ」という気持ちになってしまって。
「私はこのまま今の仕事で後悔しないのか」と悩んだ結果、「このままだと死んでも死にきれない」と思って上京して。やりたかったアイドルを始めました。
――なるほど......。
琴吹 悲しい出来事でしたけど、自分が一歩踏み出すきっかけを作ってくれた母には感謝しているんです。それこそ、「踊ってみた」を始めた頃から数えるともう15年くらい経つんですけど、その頃から"ダチョウの人"と呼ばれ始めた今を繋いでくれたのは、ある意味で母のおかげだなって。
――「"ダチョウの人"でやっていく」と思う泥臭い覚悟の理由がわかった気がします。では、これから"ダチョウの人"として成し遂げたいことは?
琴吹 テレビに出たいんですよね。実家の家族も「ダチョウのおかげで有名人だね」って喜んでくれているので、もっと届けたいですし、私も将来「おばあちゃんは昔、ダチョウで人気者になったんだよ」って言いたいですし。この前、とある番組のオーディションをダチョウネタで受けたんですけど、残念ながら落ちちゃって。
――ちなみにどんなネタを見せたんですか?
琴吹 「エアギター中にダチョウになってしまう人」とか「ピッチングマシーンダチョウ」とか。ピッチングマシーンは私のお気に入りだったんですけど(笑)。
――タイトルだけでどんなネタか想像がつくのが逆にいいですね。そんなオーディションを重ねた結果、12月2日(月)にゴールデンのモノマネ特番『モノマネMONSTER』(日本テレビ系)への出演が決定。オンエアが楽しみですね。
琴吹 悔しいのでまた挑むと思います! あとはもちろん、"ダチョウの子"に加えて"RiNCENT#の琴吹ゆず"としても覚えてもらいたいです。声が結構ハスキーで「落ち着く」と言ってもらえることが多くて、喋ることが好きなので声のお仕事もしてみたいですし、グラビアももっとやりたいです。今も「ダチョウで知りました」っていう新規のお客さんが必ず来てくれるので、ぜひライブにも来てみてください。
●琴吹ゆず(ことぶき・ゆず)
6月4日生まれ 茨城県出身
◯アイドルグループ「RiNCENT#」の水色担当、リーダー。今年の夏、Xに投稿した「ダチョウのものまね」で一躍、アイドル界の「時の人」に。
公式X【@rincent_yuzu】
公式Instagram【@rincent_yuzu】
公式TikTok【@tops_2525】
取材・文/アオキユウ(short cut) 撮影/藤本和典