KTMが自己管財による法的再建を開始。レッドブルオーナーの関与の噂は否定/MotoGP

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2024年11月28日 15:01  AUTOSPORT web

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レッドブルKTMファクトリー・レーシングのトランスポーター
 11月26日、ピエラー・モビリティAGは、完全子会社のKTM AGが経営難に陥ったため、自己管財による法的再建の開始申請を2024年11月29日に行うと発表した。

 KTMの他に、ハスクバーナ、ガスガスなどといったバイクブランドを展開しているKTM AGは、重大な経営難により数百万ユーロに上る資金調達を必要としていた。

 2024年8月に公開された親会社のピエラー・モビリティAGの2024年上期収支報告では、自動二輪部門の売上が前年上期と比べて27%減の9億3600万ユーロ、EBITDA(利払い、税引き、減価償却前の利益額)が前年上期が1億9600万ユーロであったのに対し、94%減の1100万ユーロとなっていた。

 KTMは、ピエラー・モビリティAGの収益の95%以上を占めており、今回の発表に至るまでつなぎ融資の確保に取り組んでいたとされる。

 しかし、KTMの経営陣は、期限内に必要な資金を確保できないと判断。11月26日に行われた取締役会において、KTMとその子会社であるKTM Components GmbHおよびKTM F&E GmbHの資産に対する自主的管理による法的再建の開始申請を行うことが決定された。

 これにより経営権を同社が有したまま裁判所の監督の下、KTMグループ単独で再建を行うこととなる。なお、この手続きによって、KTMの上述した2社を除くすべての子会社、特に販売会社への影響はないとしている。しかし、生産量を大幅削減や人員削減など広範囲におよぶ事業再編を予定しており、実際の影響範囲が上述の2社に留まるかは不明だ。

 ピエラー・モビリティAGおよびKTMは、今回の手続きは、90日以内に債権者と再建計画に合意することを目的としたものであると明かしている。そして、グループ再編成は、KTMグループの長期的な存続を確保するだけでなく、より強力な経営基盤を作るものでもあるとしている。

 生産事業の見直しは、ディーラーを含む余剰在庫を今後2年間で段階的な調整につながるものだとして、2025年と2026年は、オーストリアでの営業利益が合計10億ユーロ以上減少すると見込んでいる模様だ。

 ピエラー・モビリティAGは、声明の中で2024年の年間収支についても触れている。

 今回の再建プロセスにあたり、資産化された開発費などの評価減、人員削減のための一時的な費用だけでなく、業績悪化により固定費に対しての不足金などといったコストにより、さらなる損失が生じるとし、結果的に2024年の純利益は、数百万ユーロの赤字となる見込みだとしている。

 なお、一部メディアで、創業者のひとりである故ディートリヒ・マテシッツ氏の息子、マルク・マテシッツ氏(現レッドブル共同オーナーの)がKTMに関与するとの報道がされたが、これはピエラー・モビリティAGより否定されている。

 KTMは、モータースポーツ活動も積極的に行っており、MotoGPへはファクトリーチームの『レッドブルKTMファクトリー・レーシング』と、2025年からKTMブランドにチーム名を変更したサテライトチームの『レッドブルKTMテック3』が4台体制で参戦予定だ。

 ピエラー・モビリティAGのグループ構造上、モータースポーツ部門は自動二輪部門と切り離されており、今回の手続きの影響範囲外だと思われる。しかしながら、前述の通り、バイク製造販売を行うKTMが親グループの収益の95%以上を占めている以上、この再建計画がMotoGPを含むモータースポーツ部門へ影響を与える可能性は十分に考えられるだろう。

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