高橋克典、還暦を目前に「変わらないものを持ち続けていきたい」 舞台「応天の門」では新たなハマリ役・在原業平に挑む【インタビュー】

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2024年11月29日 08:10  エンタメOVO

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高橋克典 (C)エンタメOVO

 数々のドラマや映画で活躍する高橋克典が、12月4日から上演する舞台「応天の門」に在原業平役で出演する。本作は、灰原薬による累計240万部発行の人気歴史漫画を舞台化。平安京を舞台に、京の守護に就く在原業平が、若き文章生である菅原道真とともに怪事件の真相解明に挑む。高橋に本作への意気込みや役作りについてなどを聞いた。




−最初にこの作品のお話を聞いたときは、どのようなお気持ちでしたか。

 平安を舞台にした作品はとても珍しいですが、想像をふくらませながら作っていく作業が楽しそうですね。

−確かに、大河ドラマで平安時代が描かれたこともあり、とっつきやすくなった感じがします。

 以前から、なぜ平安ものをやらないんだろうと思っていたんですよ。以前に、奈良時代を舞台にした作品には出演したことがあったのですが、確かに大変なんです。ロケをしてもCGは必ず必要になりますし、なかなかハードルが高いのかもしれないと思っていましたが、今回は舞台ですから。舞台だからこそ描けることも多いのではないかと思います。

−平安時代を舞台にしているということは、衣装も大変ではないですか。

 着るのも大変そうです。本格的ですばらしい衣装なのですが、重いし動きにくいし、衣装自体の世界観がどう物語るのか、芝居と合うのか。慣れるしかないですね(笑)。

−では、原作を読んだ率直な感想を教えてください。

 宮中の権力争いやおどろおどろしい空気が非常に簡潔にリズミカルに、現代的に描いている作品だという印象でした。

−業平は、高橋さんが演じている姿がすでに想像できるほどハマり役だと思いましたが、高橋さんご自身はどのような役柄だと感じていますか。

 風流人で女性にモテて、時代を超えた色男という印象です。今回の台本では、あまりそうした部分は描かれていないので、しゃべり方や物腰で表現できたらと試行錯誤しています。

−演じる上では、漫画原作であることで意識していることはありますか。

 原作を愛している方々がいるので、イメージがかけ離れないようにしたいとは思っています。丸ごとコピーというわけにはいきませんが、僕自身も実写化になったことでガッカリするという経験はあるので、どこか共通点を感じられるように、ドラマでも漫画原作の作品にはたくさん出演していますが、撮影中に原作に立ち返ることもありますし、今回も場合によっては原作に立ち返ってとは思っています。ただ、今回は漫画を台本にしたことで、衣装やビジュアル的なもので味付けをしていく部分が多いのかなと感じているので、今の時点では未知の部分が大きいです。

−本作の製作発表では、菅原道真役の佐藤流司さん、昭姫役の花總まりさんと登壇されました。二人の印象は?

 佐藤くんはまだ若さ故にとんがっているのかなと思いましたが、とてもすてきな心の持ち主。コミュニケーションの段階から困るような人だとどう作ったらいいんだろうと不安だったので、安心して作っていけると思います。花總さんはとても可愛らしく、芯の強さとはかなさを兼ね備える人。昭姫の役もよく似合っているので楽しみです。きっとカッチリと役を作ってこられるのではないかなと思います。

(取材当時)これからお稽古が始まりますが、お稽古に向けて楽しみにしていることを教えてください。

 今回の作品は、オムニバスなんですよ。いくつかの話から1作が出来上がっているという作品なので、僕にとっては初めての挑戦です。どうなるのだろうと、本当にやってみないと分からないというのが正直なところです。ただ、きっと(演出の)青木(豪)さんが飽きさせない芝居にしてくれるのだと期待しています。そして、難解なせりふを掘り下げて作り上げるというよりは、非常に分かりやすく簡潔な展開で書かれていることもありますが、エンターテインメント性の高い舞台になるのだろうなと感じてます。なので、間口が広い、いろいろな方に楽しんで見ていただける作品になるのではと思います。大河ドラマを見て、平安時代に興味を持った方にもぜひ来ていただきたいですね。原作ファンの方はもちろん、さまざまな世代の方にも来ていただきたいと思います。

−ところで、公演中の12月15日には、還暦を迎えられます。そうした意味でも、今年は節目の年になりますね。還暦を迎えることで心境に変化はありますか。

 若い頃には意外と戻れるものですが、歳を重ねないと分からない気持ちもあるので、役の幅が広がっていることは感じています。家族を持ったり、子どもが生まれたり、歳を取ったりしたことで、人生の終わりについて考えることも増えてきました。40代までは「人生の終わり」なんて、全く考えたことがなかったんですよ。50代になって、なんとなく先も視界に入ってくる。そして今、「還暦」と周りから言われて、少しうるさいなと思いながらも(笑)、変わらないところは自分の中で持ち続けて、良質に熟していけたらと思います。

−歳を重ねることは楽しいですか。

 そうですね。いいことだと思いますよ。もちろん、楽しさと寂しさといろいろな思いがありますが。そうした気持ちの全てを俳優として演技に使っていけるので、俳優とは面白い職業だなと思います。

−今後の目標は?

 皆さんに楽しんでいただけるように、目の前の題材にまい進することです。以前は大きな目標に向かってガムシャラに走っていくという時期もありましたが、今は俳優として心を育てながら、人生の悔いが残らないように、自分にある可能性やできることをやっていけたらと思っています。

−最近は、チェロの演奏もされているとお聞きしましたが、音楽にも積極的に取り組んでいるのですか。

 後輩の高嶋ちさ子さんが誘ってくれて、「ザワつく!音楽会」という公演に出演させていただいています。チェロを始めて3年目になりますが、楽しんでやらせていただいていますよ。最近は、クラシックのコンサートの司会をやらせていただいたり、外国人の方を招いてお話を聞く番組のMCをやらせていただいたり。自分ができることで、面白いと思うことは、いろいろと挑戦していこうと思っています。

−改めて公演に向けての意気込みと読者へのメッセージをお願いします。

 平安時代を描いた作品はあまりないと思いますので、ぜひこのムードの中に一緒に飛び込んで楽しんでいただけたらと思います。お話の中には物の怪(もののけ)が出てきたりと、皆さんが楽しんでいただけるストーリーになっています。(本作が上演される)明治座は、お芝居だけでなく、ご飯を楽しんだり、お土産を買ったりしながら、みんなで楽しい時間を過ごせる場所です。ぜひそんな楽しい時間を過ごしていただけたらと思います。

(取材・文・写真/嶋田真己)




 舞台「応天の門」は、12月4日〜22日に都内・明治座で上演。

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