「『おむすび』を撮影しているスタジオから調理室が近いので、料理の匂いが漏れてしまい、その匂いに釣られて、出演者の皆さんが『何作っているんですか〜』ってのぞきにきてくれます。
ヒロインを務めている橋本さんは、本当に元気な方で、その源はしっかり食べているからでしょう。調理室にのぞきにきては、『私これ大好き』とか『今日は好物でいっぱい』とか言って喜んでくれていますね」
こう語るのは、’24年後期のNHK連続テレビ小説『おむすび』で食材調達や調理、料理指導などを担当しているごちそうプロデューサーの広里貴子さん。’13年放送の朝ドラ『ごちそうさん』以降、11年連続でNHK大阪放送局制作の朝ドラに協力している。
『おむすび』は橋本環奈(25)演じるヒロイン・米田結が栄養士になる物語で、結の実家が野菜農園であることもあり、たびたび食卓を囲むシーンがある。
出演者らは食事を共にすることで、絆を深めているようだ。
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「みなさん撮影で、『美味しい、美味しい』と食べてくださっています(笑)。今回の演者の方々は食に対する意識が高いといいますか、気に入った料理があったら、私のところまできて『今日の料理の献立を教えてください』と言ってくることがたびたびありますね。
また食事のシーンが終わったら、食卓を離れてもいいのですが、そのまま食卓に残り、食べながらモニターを見て、『ここのシーンはこうだった』って、演技のお話をされていることも……。
こうして朝ドラチームの団結が高まるのならば、嬉しいことだと思います」(前出・広里さん)
11月16日に放送された『土スタ「おむすび」特集in福岡』(NHK総合)では、橋本が食卓のシーンを振り返り、「始まる前も終わった後もずっとみんながしゃべっていて、境目がない感じ」と話していた。
ドラマの撮影現場では、団結し士気を高めるため、出演者らが差し入れを行うことが恒例となっている。定番は銘菓や飲料で、撮影の合間のリフレッシュや、出演者同士の会話のきっかけになる。
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『おむすび』の撮影現場では既製品ではなく、食材そのものを差し入れする出演者も――。
「ヒロインの母親役の麻生久美子さん(46)が、柑橘系の大きな果物をお持ちくださったことがありました。
麻生さんの果物があまりにも美味しかったので、そのときの撮影で、焼き魚にかけるドレッシングにして作中に登場させることに。
出演者の皆さんからは『おいしい!』と大好評でした」(前出・広里さん)
■「大きくて立派なキャベツができたので」
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ヒロインの祖母・佳代を演じる宮崎美子(65)は、生野菜を差し入れていた。
宮崎は’22年ごろから都内の貸し農園でコンテナの畑を借りて野菜作りに挑戦しており、その姿を自身の公式YouTubeチャンネル「よしよし。【宮崎美子ちゃんねる】」で公開している。
「宮崎さんが糸島の農家の方からキャベツの苗をいただく機会があったそうです。それを東京に持ち帰って、自分の畑で育てて『すごく大きく立派なキャベツができたので』と、持ってきてくださったことがありました。
ちょうどそのとき、調理室の冷蔵庫にアサリがあったので、キャベツとアサリの煮物を作って、それがドラマに登場しています」(前出・広里さん)
宮崎のキャベツは現場で絶賛されていた。10月23日に『おむすび』の公式HPに公開されたインタビューで、宮崎はこう語っている。
《みんなに「甘くて、シャキシャキして美味しい」と言っていただいて、生産者としては食べてくれる消費者が「美味しい」と言ってくださるのが、一番嬉しいんだなと実感しました》
米田家の食卓に並んだ、ブロッコリーの芯のぬか漬けも、こだわりの一品だったようだ。前出の広里さんが打ち明ける。
「ドラマの中で“規格外の野菜でも大切にしよう”といった意味の言葉が語られています。これに応じて、作中では規格外のお野菜を刻んで福神漬けにしています。
また廃棄をできるだけ減らそうと、ブロッコリーの芯をぬか漬けにして、登場させました」
ブロッコリーを漬けたぬか床も環境への配慮がなされていた。
実は今回利用しているぬか床は、’13年の朝ドラ『ごちそうさん』で使用していたもの。広里さんが11年間にわたって育て続けてきたのだ。
『ごちそうさん』では杏(38)演じる主人公がぬか床をかき混ぜることを日課としており、そのぬか床には主人公の祖母の魂が“憑依”。しゃべるぬか床が作品の語りを担当していた。
橋本本人もプライベートで3年前からぬか床を愛用しており、『ごちそうさん』にヒロインの義母として出演していた宮崎が今回、ぬか漬けを作るシーンの撮影は大盛り上がりだったようだ。
「宮崎さんは11年ぶりに対面したぬか床にむかって『お久しぶり』と声をかけながら、楽しそうにぬか床をかき混ぜていらっしゃいましたね」(前出・広里さん)
前出のNHK公式HPのインタビューで『おむすび』を、《いざという時に、一番頼りになる食べ物のイメ―ジなので、このドラマがそんなふうになれたらいいなと思っています。どなたにとってもどこか懐かしく、あったかく、元気になるドラマです》と紹介していた宮崎。
キャベツの差し入れや、11年ぶりのぬか床など、撮影現場を食で元気づける“要”の存在になっていた!
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