残り2戦、角田裕毅とRBの目標はただひとつ、コンストラクターズ選手権でひとつでも上のポジションでシーズンを終えることだ。それはプライドだけでなく、F1から支払われる分配金を賭けた戦いでもある。
前戦ラスベガスGPで1回目のピットストップをピエール・ガスリー(アルピーヌ)と同じタイミングだったのは、そのためだ。ジョナサン・エドルズ(リライアビリティマネージャー)はこう語る。
「あのとき、我々の最優先事項はラスベガスGP時点でコンストラクターズ選手権6位にいたアルピーヌを逆転すること。幸いアルピーヌのピットストップ作業が手間取ったことにも助けられて、逆転することができた」
ガスリーはその後、リタイア。8番手を走行していた角田がそのままチェッカーフラッグを受ければ4点を加点し、アルピーヌとの差は5点から1点となる。
ところが、その後、2回目のピットストップを遅らせていたニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)が猛追してきて、オーバーテイクを許してしまう。これで9位となった角田。無得点に終わったアルピーヌとの差を2点縮めて3点としたが、2点差だったハースとの差は4点に広がってしまった。
ハース、アルピーヌ、RBの3チームが4点差でひしめき合うなかで迎えたF1第23戦カタールGP。舞台であるルサイル・インターナショナル・サーキットは、昨年のグランプリで予選、スプリント予選、レースといずれのセッションでもトップ10外に終わったように、RBのマシンとはあまり相性はよくない。
しかし、コンストラクターズ選手権6位を目指す角田はあきらめていない。
「過去のレースを振り返る限り、僕たちのクルマとの相性は必ずしもいいコースではありません。でも、ラスベガスGPも去年苦しんだのに、今年はよかったので、悪い印象を払拭したい。クルマも昨年と違っているので、昨年までのことはリセットして、モチベーションを高く持って走りたい」
その言葉通り、フリー走行で角田は5番手と、フェラーリ勢とマクラーレン勢の4台に次ぐスピードを見せていた。
しかし、そのペースをスプリント予選で披露することはできなかった。最後のタイムアタックでコースインするタイミングがやや遅れたため、急いでタイムアタックに入ってしまったことが原因だった。
「もっといい結果を残せるはずだったけど、残念ながらパフォーマンスを最大限に引き出すことはできなかった。僕はミスは犯していないし、何が起こったのかも理解している。今夜はチームとよく話し合いたい」
救いはチームメイトのリアム・ローソンがSQ3に進出したこと。土曜日の予選でリベンジを図ってほしい。