前戦ラスベガスGPでドライバーズチャンピオンを決めたマックス・フェルスタッペンとレッドブル。メディア対応や祝杯はレース後、約3時間にわたって行われた。
しかし、チーム全員での集合写真を撮り終えた後は、いつものレース集団へと戻った。ホスピタリティハウスではエンジニアとドライバーによるミーティングが行われ、メカニックたちは次のカタールGPへ荷物を送り出すために朝方までガレージで梱包作業に追われた。
ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎(トラックサイドゼネラルマネージャー)によれば、「日曜日の朝方、ホテルに戻った後、その日の夕方の便でアメリカを出発して、その後15時間ぐらい飛行に乗って、カタールに到着したのは月曜日の夜だった」と言う。
レッドブルとHRCのスタッフに浮かれた様子がないのは、今年のドライバーズ選手権におけるライバルたちの存在が理由だ。テクニカルディレクターのピエール・ワシェはこう語る。
「シーズン途中から我々の開発は誤った方向に進んでしまった。最悪だったのは、モンツァ(イタリアGP)。それまで、見えなかった問題が見えてきた。でも、そのおかげで、方向性を正すことができた。新しい方向性でアップデートしたマシンがオースティン(アメリカGP)のスプリントで勝ったことで、ようやく落ち着くことができた。それでも我々はまだライバルたちに後れをとっているため、残り2戦も気を抜くことなく全力で戦い、少しでも多くのデータを集めて、2025年のマシンが再び競争力のあるものになるよう努力したい」
その言葉が決して謙遜ではないことは、カタールGPの初日に行われたスプリント予選で、フェルスタッペンが6番手に終わったことでもわかる。
「正直に言って、クルマにまったくペースがない。ただ遅いだけだ。コーナーの進入から中盤にかけてのバランスが悪く、攻めることができない。6番手は望んでいた順位ではなかったけれど、今日はこれが精一杯だった」
スプリント予選後、フェルスタッペンはそう振り返った。
チームメイトのセルジオ・ペレスにとっては、フェルスタッペン以上に厳しいスプリント予選となった。渋滞にはまって、実力を出しきれないままQ1で敗退した。
「最終アタックでは、みんなギャップを広げていたんだ。ところがチャールズ(シャルル・ルクレール/フェラーリ)がホームストレートで追い抜いてきて、ターン1への進入で争うことになってしまった。 そこでコンマ数秒を失ってしまい、残念ながら脱落してしまった」
しかし、クリスチャン・ホーナー代表は、それはSQ1敗退の理由にはならないと厳しい。
「いまのチェコに求められているのは内容でなくいい結果だ。モナコGP以降、ひどいシーズンを送っているからだ。ここと次の週末(アブダビGP)では、結果を出す必要がある」
レッドブルのヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)によれば、「アブダビGPの後に会議が予定されており、我々は株主たちにその結果を報告しなければならない。その報告をもとに株主たちが、来年の2チームのドライバーラインナップをどうするか決定するだろう」という。
その候補にはRBのふたりのドライバー、角田裕毅とリアム・ローソンのほかに、今年ウイリアムズからF1デビューしたフランコ・コラピントの名前も含まれているという。