【ロンドン時事】パナソニックは3日、英西部カーディフの工場で使用する電力を、製造過程で二酸化炭素(CO 2)を排出しない「グリーン水素」を活用した100%再生可能エネルギーで賄う実証設備を導入し、試運転を開始した。同社によると、グリーン水素を用いた純水素型燃料電池による発電施設は世界初。欧州でも実証を重ね、2030年以降の本格事業化につなげる狙い。
100%再エネでの工場稼働は25年3月を予定する。地元ウェールズで生成された水素を活用し、燃料電池21台とリチウム蓄電池2台、既設の太陽光パネルを連携。工場での電子レンジ組み立てに必要な年間約1ギガワット時の電力を、独自のAI制御システムで安定的に発電・供給する。電力生成時に生じる廃熱も工場の暖房などで再利用する。
英工場を皮切りに、25年3月にはドイツ工場でも発電設備を導入予定。同社の品田正弘社長は「この実証でエネルギー管理データを蓄積・分析し、(気候の違いなど)その土地に合った管理方法を提供できるようにしていきたい」と述べ、欧州での事業化へノウハウを積み上げていく考えを示した。
取材に応じるパナソニックの品田正弘社長=3日、英西部カーディフ