政治資金規正法の再改正で焦点の企業・団体献金の扱いに関し、自民党は有識者の意見聴取を経て決定したい考えだ。党内の強い慎重論に配慮し、年内決着を目指す政策活動費の廃止などとは切り分け、結論を来年に先送りする狙いがある。ただ、禁止を主張する立憲民主党などは反発しており、思惑通りに進むかは不透明だ。
自民、公明両党の幹事長、国対委員長は3日、東京都内で会談。企業・団体献金の在り方について、有識者を含む第三者機関の協議に委ねることで一致した。設置自体は再改正に反映させる方向だが、本格始動には一定の時間を要する見通しだ。
企業・団体献金は自民の有力な資金源の一つ。2023年の政治資金収支報告書によると、23億円余りで収入総額の1割強を占める。
党内は存続を求める声が大勢だ。岸田文雄前首相は先月末、石破茂首相(党総裁)と会談し、禁止に反対の考えを伝えた。首相自身も3日の参院本会議で「企業・団体献金自体が不適切とは考えていない」と強調した。
自民は同日、党政治改革本部の幹部会で再改正の要綱案をまとめたが、企業・団体献金の禁止には触れなかった。「野党は勢いに任せて押し切ろうとしているが、それは駄目だ」。閣僚経験者は「熟議」の必要性を訴える。
これに対し、立民の大串博志代表代行は記者団に「先送りはあってはならない。今国会中に結論を出すのが大切だ」とけん制。日本維新の会の前原誠司共同代表も衆院本会議で「政治改革の本丸は企業・団体献金の禁止だ」と主張した。
もっとも、労働組合の支援を受ける立民の案は、政治団体を禁止対象から除外している。国民民主党の玉木雄一郎代表は記者会見でこれを疑問視。その上で「自分を縛るルールを自分で作れないなら、第三者に委ねる必要がある」との認識を示した。