2024年F1第23戦カタールGP。スタート直後に複数台が絡む事故が発生し、いきなりセーフティカーが出動する事態に。角田裕毅はスタートで一気にトップ10圏内まで順位を上げたが、その後はロングランのペースに悩んでいた。カタールGP前半を無線とともに振り返る。
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前戦ラスベガスGPは3番手からスタートしながら、悔しいリタイアに終わったピエール・ガスリー(アルピーヌ)。今回はQ3には進めなかったものの、ポイント獲得に向けて意欲十分だった。
ガスリー:レースはタイヤに厳しそうだ。意思の疎通が重要になる。さあ、行こう!
一方、シャルル・ルクレール(フェラーリ)は、ドリンクが飲めない不具合に遭遇していた。
ルクレール:バラクラバを替える時間があるかな。飲み口が壊れてて、ドリンクが飲めないんだ。
ブライアン・ボッツィ:いや、もう時間切れだ。我慢してくれ。
ルクレール:なんてXXなシステムなんだ! しっかりチェックしないと。
結局ルクレールは水分補給なしでレースを走り続けることに。「去年のような酷暑のコンディションだったら、完走できなかったと思う」と、レース後語っていた。
スタート直後、エステバン・オコン(アルピーヌ)とフランコ・コラピント(ウイリアムズ)、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)が絡む多重事故が発生。ヒュルケンベルグは左リヤタイヤのバーストで済んだが、オコンとコラピントは早々にリタイアとなった。
ガエタン・イエゴ:大丈夫か? おそらくこれで終了だ。
コラピント:ああ。XXX!
イエゴ:ダメージを受けてる。スイッチを完全オフにして、安全に飛び降りろ。
ヒュルケンベルグ:左リヤにダメージだ。クルマは大丈夫だと思う。タイヤだけだ。ゆっくり戻るよ。
ウイリアムズ勢は、アレクサンダー・アルボンも事故に巻き込まれた。
アルボン:(ランス)ストロールに当てられた。
ジェームズ・アーウィン:了解。
アルボン:やるだろうと思ってたけどね。
ランス・ストロール:パンクチャーだ。
すぐ後ろの周冠宇(キック・ザウバー)は、間一髪事故を回避した。
周:あのアストン! ダメージをチェックしてくれ!
ストロールのドライビングの荒さには、他のドライバーたちも辟易している感じだ。
8番手スタートのフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は最高速が伸びず、一気に12番手まで順位を落としてしまった。
8周目
アロンソ:信じられないよ。もう2年経つのに、いまだにストレートで同じ問題に見舞われている。
角田裕毅(RB)は12番グリッドから、一気に9番手までジャンプアップ。しかし明らかにロングランペースに劣り、ケビン・マグヌッセン(ハース)、ガスリーらになすすべもなく抜かれていった。
16周目
角田:僕は100%プッシュしてるんだよ
エルネスト・デジデリオ:わかっている。耐えるんだ。
ピットストップウィンドウにはまだ数周あるはずの17周目、ルクレールがタイヤの異常を訴えはじめた。
17周目
ルクレール:タイヤ圧をチェックしてくれ。パンクチャーの感じなんだけど。
ボッツィ:問題ない。
スタートで順位を落とし、8番手走行中のルイス・ハミルトン(メルセデス)はペースが伸びず、すぐ前のセルジオ・ペレス(レッドブル)を抜きあぐねていた。
19周目
ハミルトン:ペースはどう?
ピーター・ボニントン:前の連中は(1分)25秒だ
ハミルトンは1分26秒台前半が精一杯だった。
23周目
ハミルトン:前とどれくらい離れてるの?
ボニントン:1秒2だ
ハミルトン:クルマ、壊れているのか? 全然曲がらないんだけど。
ボニントン:うまくバランスが取れていない。そういうことだ。
ちなみに1秒2は先行車とのギャップではなく、1周のタイム差だ。これはかなり大きい。ハミルトンはこの後も、苦戦を強いられることになる。
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F1第23戦無線レビュー(2)に続く