大人の社交場・銀座のクラブにホステスとして勤めているみずえちゃんと申します。いよいよ年末です。毎晩23時以降の記憶があまりありません。繁忙期ですね。女の子に「昨日は酔っ払っちゃってごめんなさい」と言われたときは「えー!何のことですか!」とすっとぼけるようにしています。半分は優しさですが、半分は本気で全く覚えていないからです。
その傍ら、ライターとしても活動しており、これまでに私がお酌をさせていただいたおじさま方との実体験をもとに、夜遊びやモテに関する情報を発信させていただいております。
◆50代・40代の荒ぶるクソリプおじさん
ネット上での「誹謗中傷」が社会問題となっており、「開示請求」という言葉を目にする機会も増えてきました。
弁護士ドットコム株式会社が、2022年1月に弁護士ドットコムの一般会員1355人を対象に実施した調査によると、誹謗中傷の加害者は50代男性が24.4%と最多で、次いで40代男性が22.7%と続き、中年男性の加害経験の比率が高いことがわかっています。
たしかに、SNSではおじさんのクソリプが目立ちます。
◆匿名である安心感から言いたい放題
クソリプとは、「クソなリプライ」のことで「主にTwitterやインスタをはじめとするSNSにおいてFF外(非相互)から来る「セクハラ系」「愚問系」「自己中系」「上から目線系」「難癖系」「偏見系」「恨み節系」「誤解系」「煽り系」「自分語り系」「暴言系」「意味不明系」に分類される返信を指す言葉(以上、Wikipediaより引用)とのこと。
かくいう私のX(旧Twitter)アカウントにも少数ではありますが日々クソリプが寄せられています。匿名である安心感からか、皆さん本当に好き勝手言いたい放題ですよね。ひとつは、これは本当にワケが分からないのですが、私をとある男優さんのガールフレンドと誤解したおばさんによるものでした。かなり執拗に粘着されていましたが、最近は姿を見かけません。元気にしているのでしょうか。
それ以外は見事に男性、おそらく中高年と思われるジジイによるものばかりです。返信がなくてもクソリプをやめない健気さには病的なものを感じます。
今回は私のもとに実際に寄せられたクソリプのなかで個人的ベスト3を具体例としてあげながら、「中年男性が水商売女性のアカウントに誹謗中傷を繰り返してしまう理由」について考察します。
◆第3位「そんな女を口説くつもりはありません」(理由:過度にポジティブ思考)
私の執筆した記事をご覧になった男性からこのようなリプライをお寄せいただきました。
「記事を読みました。男性側の意見を言わせてもらいますが、クソキャバ嬢に飲ませるお酒はありません。そんな女を口説くつもりもありません。即チェンジレベルです。勘違いも程々にお願いします」
これは「キャバ嬢は私に口説かれたいはずである」という前提に基づいた発想です。クソリプ中で言及されている“そんな女”というのは当然クソキャバ嬢を指すものだと思われますが、キャバ嬢に限らず、オダギリジョーでも高橋一生でもないただのおじさんに口説かれても迷惑……というのが一般的な感覚でしょう。
こういったリプライは著名なキャバ嬢さん、ホステスさんのアカウントではイヤというほど目にします。こんな女にお金を払ってまでうんぬんかんぬん、といったものです。「へー、じゃあ相席居酒屋にでも行ってください」としか思いません。
勘違いもほどほどにお願いします。
◆第2位「キャバに通うような男はバカ」(理由:強がり)
こちらも読者のジジイから寄せられたクソリプです。
「量産型の薄い内容。キャバやホステスの世界はいまだに昭和の感覚から抜け出せていない稀有な業界だと思う。通う男が変わらないからダメなんだろうな」
これとほとんど同様の内容ですが「キャバのなにが楽しいのかわからない」「キャバに通うような男はバカ」といったリプライも度々寄せられます。
おっさんがチヤホヤお酌されて、露出されたお乳やパンティに鼻の下をのばしているのがいかにも昭和でダメ!何が楽しいのか!バカ!と言いたいのでしょうけれど、チヤホヤお酌されて鼻の下のばすの最高に楽しいはずですよ。いや、楽しくないわけないでしょ。
強がりはよして、さっさと六本木へ行くのです。若くて細くて可愛いオネエチャンにチヤホヤされてください。
手に入らなかったものの価値を無理やり小さく見積もって強がっちゃってんのかなりダサいです。素直になりましょう。
◆第1位「独身夜職女は社会的弱者」(理由:自分より弱いやつを安心して殴りたい)
こちらは近年まれにみる傑作です。よってNO.1に選出させていただきました。
「35歳で深夜におっさんの酒作ってタバコに火つける人生のくせに。このまま年取ってババアになったら終わり。35歳独身夜職女なんて社会的弱者以外の何者でもない。弱者にできることはここでグズグズ言うことぐらいですねえ。誰も助けてくれないんだろうな。可哀想に。私が助けようか?」
我々のようなお水系女性のアカウントにクソリプがつきやすい理由がこのクソリプには詰まっています。
キャバ嬢なんてどうせ酒飲んで騒いで、そのくせたいした社会貢献活動はしていなそうだし、こいつらに石を投げたところで誰も咎めないだろう、などのベースに加え、社会的弱者以外の何者でもない犬畜生は好きなだけ蹴ってもいいんだぜ的な心情がうかがえます。
私たちはおそらくですが、中世日本において設けられた身分制度、士農工商の外におかれた人々のような部類の扱いなのだと分析します。たとえば、駅から徒歩20分の家賃6万円外階段ボロアパート独居おじさんが安心して見下せる最後の砦が35歳独身夜職女なんです。
◆クソリプしている場合じゃない
今回は私のもとに実際に寄せられたクソリプのなかで個人的ベスト3を具体例としてあげながら、「中年男性が水商売女性のアカウントに誹謗中傷を繰り返してしまう理由」について考えてみました。
キャバ嬢にだけあたりのキツイおじさんは、キャバ嬢にならクソミソ言ってもいいやとふんぞり返っているわけなのですが、当のキャバ嬢はおそらくですが「ふーん、でも私の方が可愛いからまあいいや」と受け流しているので、確かにキャバ嬢には何を言ってもある程度はいいと思う。
首相がおにぎりを食べている動画のスクリーンショットなど、ほとんどイジメなんじゃないかと言いたくなるようなものがSNS上には溢れています。これには心が痛みます。顔も名前も明かして仕事をしている人に対し、匿名で攻撃できるのは気楽でいいものなのでしょうね。これに関しては、なんとなく世直し的な気分でやっているのかもしれません。
醤油差しの注ぎ口をペロペロした少年に対し、少年の名前や通学する学校を特定する動きがあった際にも同じことを思いました。
誰かの名誉を貶めたところで、お前のクソみたいな人生が変わることはありません。ご自身が向き合うべき諸問題とまずはしっかり向き合ってください。健闘を祈ります。
<文/みずえちゃん>
【みずえちゃん】
1989年生まれ。新潟県長岡市出身。関西外国語大学卒業後、大阪市内の広告代理店に勤務する傍ら、キャバ嬢デビュー。結婚、離婚、地方の激安キャバクラを経て、現在は銀座ホステスとライターを兼業。X(旧Twitter):@mizuechan1989