8月4日に富士スピードウェイで行われた2024スーパーGT第4戦『FUJI GT 350km RACE』のGT300クラス決勝レースで、谷口信輝/片岡龍也組の4号車グッドスマイル 初音ミク AMGがおよそ2年ぶりの表彰台を獲得した。
おなじくメルセデスAMG GT3を使用する65号車LEON PYRAMID AMGがクラス優勝を飾った第4戦の決勝。スタートから3番手を走行していた片岡は「65号車はFCYのタイミングでピットに入っていたので、はるか彼方、半周以上先にいってしまいました」とレース後に語る。
明暗を分けたのは決勝レース25周目、HOPPY Schatz GR Supra GTがダンロップコーナーで車両を止め、回収するためにFCY(フルコースイエロー)が提示されたとき。トップ走行のLEON PYRAMID AMGはFCY導入を見越してピットに飛び込み、その目論見は見事に当たった。
コース上の全車が80km/h走行しているあいだに“フルサービス”のピット作業を終えたLEON PYRAMID AMGは、片岡の言うとおり半周以上のアドバンテージを得ることに成功。トップの座を盤石なものにする。
「あのシチュエーションでFCYが出ると思わなかったですね」と片岡。そのときにピットに入ることもできたと言うが「かなりギャンブルといいますか、後半に燃費走行が必要になるタイミングでした」と振り返る。
「今回はブリヂストンとダンロップも速かったですし、ヨコハマ勢も安定していて、すごくタイヤのレベルが高かったです。まるでFIA-F4のように『ワンメイクでずっとプッシュし続ける』状況で、外から見ると(レースの)動きがまったくないけど、乗っている方からすると『GT300もレベル高っ!』と思って走っていました」
■バトルに疲弊もポジション死守の谷口「強い気持ちでやってやりましたよ」
そんな片岡からバトンを引き継ぎ、後半スティントを担当した谷口はレース後「疲れました! 最初から最後まで追われっぱなしで、誰かを追いかけることはなく、ずっと後ろだけを見ていましたね」と開口一番に語る。
GT300全車がピットを終えると2番手に浮上したグッドスマイル 初音ミク AMGは、リヤ2本交換を選択したJLOCのランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2の2台を徐々に引き離し、単独走行に入りつつあった。
ただ、その後方から谷口を上回るハイペースで追い上げてきたのが、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラがドライブする56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rで、2台は40周目後半からフィニッシュまでテール・トゥ・ノーズでバトルを繰り広げた。
「もちろんプッシュなんだけど、ムダに全力で逃げて追いつかれて、タイヤを擦り倒して抜かれるのもダメなんだよね。間合いを見ながら、くっつかれたら防戦して、少しあいだが空いたら逃げて、みたいなことを繰り返していましたね」
谷口とオリベイラのバトルは、一時コンマ数秒以内での争いを繰り広げたが、GT500車両をうまくあいだに入れる“ベテランの技”をみせた谷口がポジションを死守し続ける。
「サインボードに出てくる残り周回数も『もっと早く数字が減ればいいのなぁ』と思いながらも、絶対前にいかせたくない。相手もJP(オリベイラ)だから、めちゃくちゃ攻めてきても『むちゃくちゃに負けねぇぞ!』という強い気持ちでやってやりましたよ」
この谷口の強い闘志もあり、チェッカーまで順位を守ったグッドスマイル 初音ミク AMGは、優勝を飾った2022年第5戦鈴鹿以来の表彰台となる2位を獲得。ランキングでもトップと18点差の5位に浮上した。
「今日はチームにがっかりな思いをさせずに終われてよかったです」と谷口。また片岡も「2位は僕たちが今日獲ることができる最高の結果でした。昨年は一度も表彰台に乗っていないので、ひさしぶりの表彰台です。この勢いで後半戦も頑張りたいですね」と選手権争いを見据える。
名手ふたりのドライバー、そしてチーム力も申し分ないグッドスマイル 初音ミク AMG。2年ぶりの表彰台をきっかけに、2017年以来となるチャンピオン獲得へ勢いを繋げていきたいところだろう。