【グルノーブル(フランス)4日=松本航】フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルは5日(日本時間6日)、フランス・グルノーブルで開幕する。シリーズ2戦上位6人が対象だが、女子は2連覇が懸かる坂本花織(24=シスメックス)を筆頭に日本勢史上最多5人が出場。GP2連勝のアンバー・グレン(米国)を含め、シーズン前半戦の頂上決戦となる。日本女子は3日に現地入り。26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に向けても貴重な、欧州の舞台での競演が始まる。
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○…坂本の照準は26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪だ。自身3度目の五輪から逆算し「今年の1試合1試合が来年に響く」と2シーズンをひとくくりで考える。周囲を明るくするキャラクターは、24歳となっても変わらない。NHK杯優勝一夜明けでは「ホテルのご飯の肉みそがおいしかった。それがちょっと食べたい」と笑わせ、リンク内外でのスイッチの切り替えも円熟味を増している。
○…千葉百音(19=木下アカデミー)の表情に進化が見られる。世界選手権に初出場した昨季以前は眉が“ハの字”になっていたといい、SNSで「この世の終わりの顔をしてる」という投稿を見かけた。自身でも「これから競技をする人の顔には思えないな」と自覚し、それまで2割だった笑顔の意識を5割にした。表情まで思いを届かせ、安定感ある演技に加えて「慣れた感じの笑顔が出せてきた」。感情の表現にも注目だ。
○…12歳で大技トリプルアクセル(3回転半)を跳んだ吉田陽菜(19=木下アカデミー)は、実績を自信に変えている。20年春に故郷の名古屋から、京都の木下アカデミーに拠点を変更。23年GPファイナルで3位に食い込み、今季は2戦目のフィンランド大会を制した。3回転半を本番で組み込むことにこだわり「浅田真央さんみたいな選手になりたい」と目線は高い。リンク外では通訳なしで英語での会話ができ、寺社めぐり好きな同大1年生だ。
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○…“無重力スケーター”の松生理乃(20=中京大)が初舞台へ挑む。浅田真央らを育てた山田満知子コーチのクラブで、9歳から本格的に競技開始。SP、フリーを2度ミスなく通す練習を重ね、力感のない柔らかな滑りを体得した。過去2年は全日本選手権で2桁順位が続いたが、今季のGPでは2試合ともフリー1位の得点を記録。「その時の自分の精いっぱいを出す」を信条とする20歳は「無欲でいけたら」と己の演技に集中する。
○…団体銀の北京五輪を終え、長期休養を経ての2季目に、樋口新葉(23=ノエビア)は新境地を得た。「いまは人と比較しない。自分に集中できている」。序盤から得点の伸びしろを見定め、着実に点数アップ。「決めた時にそこに向かって突き進めるのは自分の強み」とスケートアメリカでのGP初優勝も手に、7年ぶりのファイナルへ。シーズン前、行きつけのカフェに書き残した。「今年はいけるんじゃないか」。有言実行の日々で突き進む。
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