ディズニー・アニメーション映画『モアナと伝説の海』(2016年)の続編、『モアナと伝説の海2』(12月6日公開)で、海に選ばれた少女・モアナ役の日本版声優・屋比久知奈にインタビュー。7年ぶりに演じたモアナの魅力とは?
【動画】日本版声優・屋比久知奈が歌う「ビヨンド 〜越えてゆこう〜」
『モアナと伝説の海』は、壮大で美しい海が広がる南太平洋のポリネシアにインスパイアされた楽園のような島々で語り継がれる神秘的な伝説をもとに、海を選ばれた少女“モアナ”が、傷つき悩みながらも、自分の進むべき道を見つけるため冒険に出る物語。圧巻の歌とリアルな映像で世界興収6億ドル越え、日本でも2017年に公開され、観客動員数423万人、最終興行収入51.6億円を超える大ヒットを記録した。
続編となる『モアナと伝説の海2』は11月27日に全米で公開されると、『アナと雪の女王2』を超え全米で映画史上歴代No.1の5日間オープニング記録を樹立するなど、さまざまな快挙を達成する大ヒットとなっている。
『モアナと伝説の海2』は、前作から3年、19歳に成長したモアナは、すべての海をつなぐ1000年にひとりの“導く者”となり、彼方の島にいる人々を探していた。ある日、人間を憎み世界を引き裂いた“嵐の神の伝説”を知ったモアナは、その呪いを解くために、世界を再びひとつにする冒険にこぎ出す。さまざまな試練に直面し、リーダーの資質を問われるモアナ。変幻自在な半神半人のマウイや新たな仲間とともに、乗り越えることはできるのか!?
――屋比久さんがモアナの日本版声優に決まり、そのお披露目イベントを米ハワイ・アウラニリゾートで行いましたね。
【屋比久】すごくいい経験をさせていただきました。ハワイですごく緊張したことや楽しかったことは覚えています。あれから7年、あっという間だったようにも、すごく昔のことのようにも思います。
――当時はまだ学生でしたよね。
【屋比久】前作の収録は、大学を卒業する直前でしたが、30歳になりました(笑)。
――続編に引き続き出演することになったお気持ちは?
【屋比久】前作がすごく気持ちよく終わっていたので、続編はないのかなと勝手に思っていました。だから、続編のことを聞いたときは本当にびっくりしましたし、うれしかったです。いちファンとして、どんな話になるのか、どんな物語が続いているのか、すごく楽しみでした。
――『モアナと伝説の海2』はいちファンとして楽しめましたか?
【屋比久】はい。今回は新しい仲間が増え、ヘイヘイ(予測不可能な行動をするニワトリ)だけじゃなく、プア(ちょっと怖がりなブタ)も一緒に冒険するというのはうれしいサプライズでした。前作でも印象的だったカカモラ(小さくて勇敢なココナッツの海賊)も登場し、物語にも関わっていて、いろいろ想像を上回る続編になっていると思います。
――モアナの世界では前作の冒険から3年後、妹もできて、19歳になったモアナを演じる上で意識したことはありますか?
【屋比久】16歳から19歳になる3年間は、とても大きな変化がありますよね。今回のモアナも、大人になった姿が映像を通じてしっかりと感じられました。見た目として大きく変わったわけではありませんが、大人びた雰囲気があり、妹シメアへの声のかけ方や村の人々との関係性、お父さんお母さんとのやりとりなどから、この3年間で彼女がどんな生活を送ってきたのかが想像できるように描かれていました。そういった背景が自然に伝わってきたので、違和感なく3年後の世界に入り込むことができたと思います。
収録に入る前は、3年という時間の流れをどう表現すればいいのか少し悩みました。でも、冷静に考えると、私自身も7年という年月を経ていて、その間に声や歌声も変化していることに気づきました。前作の時のようにがむしゃらに向き合う姿勢をそのまま持ち続けながらも、自然体で演じることで、私の7年間の経験がキャラクターにいい形で反映されるのではないかと考えました。気負わず、余計なものをそぎ落として、まっすぐな気持ちで収録に臨むことを意識しました。
――『モアナと伝説の海』でデビューして以降、ミュージカルなどでご活躍ですが、モアナは屋比久さんにとってどんな存在ですか?
【屋比久】モアナは私にとって、とても大切な存在です。この作品は、私のデビュー作であり、初めての仕事として全力で取り組んだものでした。右も左もわからない状態でしたが、モアナというキャラクターに支えられて、やり遂げられた感覚があります。モアナは私自身の一部、あるいはコアになった存在だと思っています。
この7年間、モアナとしてちょっとした出演をする機会はありましたが、作品として関わることはほぼありませんでした。それでも、モアナは常に私のそばにいて、支えてくれる存在でした。くじけそうになった時に、モアナのことをよく思い出していました。彼女はいつも私の背中を押してくれるキャラクターであり、今後もきっと彼女はそばに居続けてくれると思います。
――モアナと屋比久さんのイメージが重なるのですが、ご自身では共通点はあると思いますか?
【屋比久】私自身も、モアナとは多くの部分でリンクしていると感じます。前作では、「海へ出たい」モアナも、「ミュージカルをやりたい」私も、不安や恐れよりも、希望や未来への憧れの気持ちが勝っていました。それから経験を積んで、大切にしたいものやプライド、自信が芽生えてきて、それがあるからこそ、新たな不安が生まれたり、尻込みしてしまったりすることもあって。それでも前に進みたいと葛藤する。それを歌っているのが、「ビヨンド 〜越えてゆこう〜」です。私自身がこれまでたどってきた道とも重なりますし、多くの人に共感してもらえるのではないかと思います。皆さんの心に届くように歌っていきたいと思います。