自民、公明両党は11日、国民民主との3党税制調査会長協議で、大学生らを扶養する親の税負担を軽減する「特定扶養控除」を巡り、アルバイトなどをする子どもの年収上限を現行の103万円から130万円に引き上げることを提案した。事務手続きを考慮し、施行時期は2026年1月1日と提示。ただ、国民民主は「少な過ぎる」などとし、150万円までの引き上げと25年からの開始を求めた。
特定扶養控除は、19〜22歳の子を持つ親らの税負担を軽減する仕組み。所得税の場合、親の所得から63万円を差し引いて課税する。子の年収が103万円を超えると扶養から外れ、税負担が増えるため、学生が年末になるとバイトの就業時間を調整する問題が発生している。
自民の宮沢洋一税調会長は記者団に「大学生が『働き控え』を始めるのが10月くらいなので、130万円であれば十分ではないか」と説明した。
これに対し、国民民主は配偶者が働いても収入が150万円になるまでは控除が満額受け取れる「配偶者特別控除」を参考に、150万円までの引き上げを求めた。103万円を超えると控除額がゼロになる現行の仕組みも見直し、段階的に縮小するよう要求。宮沢氏は「前向きに検討したい」と応じた。
3党税調会長は13日にも改めて協議。特定扶養控除に加え、11日の自公国3党幹事長会談で合意された所得税の非課税枠を103万円から178万円に引き上げる道筋についても話し合う見通しだ。
さらに、児童手当の拡充に伴い24年度税制改正で縮小が決まった16〜18歳の子どもが対象の扶養控除についても、国民民主が維持・拡大を求めており、3党協議の焦点の一つに浮上。扶養控除縮小に関しては公明も先送りを主張しており、宮沢氏は記者団に「(党内で)重く受け止める」と強調した。こうした議論が今後本格化することから、25年度税制改正の取りまとめは来週以降にずれ込む見通しだ。