政府・与党は11日、働く高収入の高齢者を対象に、給与と年金に適用される所得税の控除額の上限を合計で280万円とする方向で調整に入った。高齢者の働き控えにつながっていると指摘される「在職老齢年金制度」の見直しに伴い、収入の増加が見込まれる高齢者に応分の税負担を求める。政府・与党は年金制度の見直し後、2026年度税制改正で実現させる方針だ。
給与を受け取りながら年金も受給する人には、「給与所得控除」と「公的年金等控除」が併用して適用される。このため、同じ給与額の現役世代や、年金を受け取っていない働く高齢者に比べて控除額が大きい。280万円の上限を設けることにより、税負担の格差を是正する。
控除の上限設定は、在職老齢年金制度の見直しと併せて検討されてきた。在職老齢年金制度は、賃金と年金の合計が基準額の月50万円を超えると年金支給額が減る仕組み。高齢者が就業時間を調整して収入を抑えなくても済むよう、政府は基準額の引き上げに向けて議論を進めている。
年金が減額される基準が引き上げられた分、収入を増やして給与所得控除が増えれば、税負担の格差拡大にもつながる。このため、税制面の対応も並行して進める。