最近、Xで話題となったのが《詐欺電話がかかってきたので手口をメモ》という投稿だ。その手口は、まず非通知で携帯に着信があり、警察を名乗る人物から“特殊詐欺に関わっている証拠が出た。ただちに〇〇県警に出頭を”と要請される、というもの。投稿者はここで電話を切り、実際の〇〇県警に連絡を取ったところ、最近流行りの詐欺手口と判明し、事なきを得たという。だが、もしそのまま電話を続けていたなら、この後どのような詐欺行為が待っていたのだろうか? 詐欺・悪徳商法ジャーナリストの多田文明氏に詳しく聞いた。
恐るべき“闇の名簿”
「11月、お笑い芸人のTKO木下さんが同様の手口に遭いました。朝早くに石川県警を名乗る電話から“今から出頭してください”と要請があり、仕事があるのですぐには無理と断ったところ、LINEのビデオ通話に切り替えさせ、警察官の姿の男が警察手帳のようなものをちらつかせたそうです。そのうえで、木下さんが“詐欺事件の容疑者となっている”とにおわせ、言葉巧みに銀行口座の残高などを聞き出し、周辺の様子を通話画面に映すよう指示をしてきたといいます。SNSで拡散された手口の“その先”には、このような流れが待ち受けていたのでしょうね」
幸い、途中で木下が芸能人であることに気づいた偽の“警察官”が突然、木下の無実を唱え始め、通話は切られたそうだが……。
「被害に遭わなかったとはいえ、最新の個人情報を抜き取られて“闇の名簿”に載ってしまったと思われるので、今後も警戒すべき」(多田さん)
その“闇の名簿”とは。
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「犯罪グループ間で共有されるリストです。一度、詐欺に引っかかったカモの個人情報は、必ずその名簿に載り、拡散され、最終的に押し込み強盗などを企てる凶悪なグループの手に渡ることも。なので、詐欺被害に遭われた方にはすぐに“携帯番号を変える”、独居であれば“被害後は自宅になるべく戻らない”“転居も検討する”ことをすすめています」(警察関係者)
番号の偽装も
危険なリストに載らないためにはどうするべきか。
「まずは手口を知ること。最近の傾向として、警察や役所をかたる手口が多い。国際電話や非通知での着信は不審なので身構えますが“下4桁0110は警察の番号”という知識をお持ちの方も多いためか、着信時の番号を偽装してかけてくる場合もある。あと、警察がビデオ通話を求めたり、ましてやそこで出頭要請や逮捕状が出されるということはないので、判断ポイントにしてください」(多田さん、以下同)
容疑をかけられたらパニックになって“いまどきの警察ってそうなんだ?”と変に納得してしまいそうだ。
「まず不安を煽り、パニック状態に陥れるのが詐欺電話の常套手段。“2時間後に電話が使えなくなります”などと音声ガイダンスでかかってくるケースも。指示どおりに受話器のボタンを押すと、そのまま詐欺師につながります。また音声ガイダンスでのアンケートを装って個人情報を得るパターンもあります」
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不動産会社や証券会社、リフォーム会社や太陽光パネルの会社などをかたるアンケート電話もスルーしよう。
「携帯には迷惑電話防止アプリの類いがありますし、固定電話でも非通知の電話を拒否するサービスなどがある。電話に出ないと空き巣を招くこともあるので、これらをうまく使って用心してください」