医療費が高額になった場合に患者の自己負担を抑える「高額療養費制度」の見直しをめぐり、厚生労働省の専門部会は負担額の上限を所得に応じて引き上げる方針を了承しました。
「高額療養費制度」は、手術や入院などで患者の支払う医療費が高額になった場合に、年齢や所得に応じて決められた毎月の上限額を超えた分が払い戻される仕組みです。
現在の上限額は、70歳未満では5つの区分に分かれていて、3万5400円から25万2600円ほどで設定されていますが、厚労省は現役世代の保険料の負担を抑えるために、上限額の引き上げに向け議論をしてきました。
厚労省はこれまでに上限額を5%から15%引き上げる試算を示していましたが、きょう開かれた厚労省の専門部会は、区分を13に細分化し所得に応じて上限額を引き上げる方針を了承しました。
また、高額療養費制度では、70歳以上で年収がおよそ370万円を下回る人には外来受診にかかる自己負担額にも上限を設ける「外来特例」があります。「外来特例」の上限額は、▼年収がおよそ370万円までの人で月1万8000円、▼住民税非課税の人で月8000円と設定されています。
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厚労省はきょう、「外来特例」の自己負担の上限額を月2000円引き上げたり、廃止したりした場合に、保険料の負担がどれくらい減るかの試算を示しました。試算では、現役世代も含めて1人あたりの保険料が年間で200円から2000円軽減できるとしています。
一方で、「外来特例」を廃止することについては、委員から慎重な意見がありました。
厚労省は、これらの具体的な引き上げ額などについて年内にも結論を出す見通しで、早ければ来年夏から施行したい考えです。