「SFは、みんな見てますよ」太田格之進が語るIMSAでの“豪華”チームメイト、そして日本との違い

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2024年12月13日 07:20  AUTOSPORT web

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2024年11月にデイトナでのIMSA公式テストに参加した太田格之進(アキュラ・メイヤー・シャンク・レーシング)
 アキュラ・メイヤー・シャンク・レーシングから、デイトナ24時間を含む2025年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の3レースへの参戦が発表された太田格之進。12月11日の発表会後の取材では、11月に参加したIMSA公式テストにおける、チームメイトとの関係性も太田の口から語られた。

■LMDhドライバーに求められる「マルチタスク」

 11日に発表されたとおり、太田は来季も全日本スーパーフォーミュラ選手権への参戦は継続しながら、新たにスポーツカーレース最高峰クラスへ挑むことになる。

「やっぱりまずは場所というか、日本ではなくて海外でやることが大事だと思うし、ドライバーとして重要なことは、競争力の高いマシンに乗って、自分を刺激してくれるドライバーと組むことだと思います」と太田は今回の海外挑戦の意味について語った。

 太田の言う「刺激してくれるドライバー」は、なかなかの豪華布陣だ。太田と93号車アキュラARX-06をシェアするレンガー・バン・デル・ザンデ、ニック・イェロリーはそれぞれスポーツカーレースのトップカテゴリーで豊富な経験があり、かつてスーパーフォーミュラにも参戦したアレックス・パロウは、2021、2023、2024年と、インディカー・シリーズを3度制覇している。

 また、同チームの60号車にはトム・ブロンクビスト、コリン・ブラウンというこちらもスポーツカーレースに精通したレギュラー陣が控え、長距離戦ではインディカー通算6冠を誇るスコット・ディクソン、そして2019年からインディカーに参戦を続けるフェリックス・ローゼンクビストが加わる。

 経験豊富なチームメイトたちを指して太田は「申し分のない体制」と表現した。

「パロウも、ディクソンも、ローゼンクビストも、インディカーでも結果を出している半端ない人たちだと思う。もちろんチームメイトなので争うつもりはまったくないけど、彼らから盗める部分は盗んで、これから先IMSAだけでなく、(佐藤)琢磨さんのようにいろいろなところでやっていくために、自分のブランドを確立していかないといけない」

 11月のテストに参加した際に印象的だったこととして、太田はHRCのスタッフも入るチームの規模の大きさや、膨大な量のテレメトリーのデータなどを挙げていた。その環境では、ドライバーとして求められる要素にも、若干の違いはあるようだ。

 テレメトリーで常時マシンからピットへとデータが飛び、ハイブリッドシステムも備えるLMDh車両では、「まずはやることが多いですし、走りだけに集中していいわけではなく、よりマルチタスクななかで走らなければいけない」と太田。

「そこは大きく違うなと思いましたけど、結果的にドライバーとしてやることは一緒かなと思っています」

 膨大なテレメトリーのデータを担当エリアごとにリアルタイムで分析するため、エンジニアの人数も日本のレースの比ではなくらいに多いという。

「見られるデータも多いですし、どのような方向から見るかという部分においても、本当に細かく見ています。あと日本との違いとしては、エンジニアサイドからドライバーに対して『こうした方がいいかも』みたいな意見が出てきますね。そこはある意味、(ドライバーとして)成長できる場なのかなと思います」

■日本のレースへの理解度が高いチームメイトたち

 なお、太田がテストに参加したのは、スーパーフォーミュラ最終戦の直後。鈴鹿で2連勝を決めてすぐの渡米だった。その際には、スーパーフォーミュラのレースに対するリアクションもあったという。

「SFはみんな見てますよ。まぁ、見てるという確証はないんですが(笑)、普通に僕が2連勝したことも知っていたし。嬉しいなと思ったのは、スーパーフォーミュラという舞台が、彼らからしてもすごい認知があって、『あそこで速いヤツは速いよね』というのは、共通認識になっているのかなと思います。パロウとか、ローゼンクビストとか、SFから来ている選手たちがいますしね」

 シリーズとしてのレベルの高さが認識されているだけでなく、日本のレースへの理解度が高いことがうかがえる印象的な言葉も、チームメイトからは聞くことができたという。

「みんなで一緒にご飯食べているときに彼らが言っていたのは『日本だけが、プロパーな(「きちんとした・まっとうな」の意)レースカーを作って、レースをしてるよね』ということです。『軽くてダウンフォースがあって速い、レースカーとして楽しそうだよね』というコメントが彼らの口から聞けたのが、すごい印象的でした。チームメイトみんなが『SF、乗ってみたい』と言ってました」

 日本のレースを経てアメリカへと渡った“先人”たちの存在もあり、スーパーフォーミュラで速さを見せている太田は、一定のリスペクトをもってIMSAの世界へと受け入れられているようだ。この先はスポーツカーレースで結果を残して、アメリカ、そして世界での評価をより一層引き上げたいところだろう。それは本人だけでなく、日本のレース全体の評価をも高める可能性を秘めていると言えそうだ。

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