2歳牡馬のマイル王決定戦、GI朝日杯フューチュリティS(京都・芝1600m)が12月15日に行なわれる。
2歳牡馬が出走できるGIは、ほかにGIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)があり、それぞれ3歳春のクラシックへ向けての登竜門となっている。
それゆえ、どちらのレースも例年、世代を代表するトップレベルの馬が集結。朝日杯FSでも人気馬が安定した力を発揮している。過去10年の1番人気の成績を見ても、5勝、2着2回、3着2回と、馬券圏外になったのはわずか1回のみ。その信頼度はかなり高い。
そうなると、穴党の出番はないのだろうか。日刊スポーツの奥田隼人記者はこう語る。
「1番人気の信頼度が高かったのは、阪神開催でのこと。今年は(阪神競馬場の改修工事により)京都開催ですから、大きな配当が飛び出す可能性は十分あり、穴党にもチャンスが巡ってくるのではないでしょうか」
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奥田記者が続ける。
「(阪神開催では)3連単の配当で10万円を超えたのは、6番人気のサトノアレスが勝った2016年まで遡らなければなりません。ですが、今年の舞台は京都の外回り・芝1600m。勝負どころとなる3〜4コーナーにはアップダウンがあって、2歳の若駒には難しいコース。ひと筋縄ではいかないと思います。
現に朝日杯FSと同じく、今年は京都開催となった先週のGI阪神ジュベナイルフィリーズでは、1番人気のブラウンラチェットが馬群に沈むなどして、3連単では22万円超えの高額配当が飛び出しました。今週も"荒れる"ことを期待したいです」
そこで、奥田記者は「京都だからこそ」狙い目となる2頭の穴馬候補をピックアップした。1頭目は、テイクイットオール(牡2歳)だ。
「先週の阪神JFは、1着アルマヴェローチェ、2着ビップデイジー、3着テリオスララ。3頭に共通していたのは、前走が1800m戦で距離短縮組だったこと。今回、その"距離短縮"という点で当てはまる1頭が、この馬です。
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デビューは東京のマイル戦(10月13日)で、好位から上がり33秒2をマークして1着。レースセンスのよさを見せて勝ち上がりました。
2戦目となった前走のGIII京都2歳S(11月23日/京都・芝2000m)は、直線で伸びきれずに6着。管理する中竹和也調教師は敗因について、『前走は距離だと思う。距離を延ばしたら、終(しま)いで動ききれなかった』と分析しています。
しかし今回は、初陣を飾ったマイル戦に戻して反撃態勢にあります。指揮官も、『ビュッとキレるところがあるので、それが生きる距離がいい』と、この舞台への適性を口にしています。距離短縮で大きな変わり身があってもおかしくありません」
鞍上は、阪神JFで初のGI勝利を決めて勢いに乗る岩田望来騎手。一発への期待がますます膨らむ。
奥田記者が推奨するもう1頭は、なんと未勝利ながらGIに挑むクラスペディア(牡2歳)だ。
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「京都の芝は、今週からDコースへと替わります。傷んだ馬場の内側がカバーされることで、前目で運んでスピードを生かすタイプにも注意したいです。
この馬は、新馬戦(8月10日/中京・芝1200m)が2着。続く2戦目は未勝利の身ながらGIII小倉2歳S(9月1日/中京・芝1200m)に挑戦して、新馬戦と同じくエイシンワンド(牡2歳)の2着と好走しました。
結果、重賞で賞金を加算したことで、未勝利戦には出られない0勝馬という珍しい立場になりました。そうして、前走のGII京王杯2歳S(11月2日/東京・芝1400m)でも5着と善戦。この中間は、朝日杯FSと前日に行なわれるオープン特別の中京2歳S(12月14日/中京・芝1200m)との両にらみで調整を進めてきました。
どちらにするか、その判断基準は折り合い面でしたが、管理する河嶋宏樹調教師は『1週前の追い切りがリラックスして走れていたし、坂路を上がった週末もいい感じで。これなら(GIでも)いけるかなと』と、朝日杯FSへの出走を決断。
さらに、『課題をクリアしてくれているし、能力はある馬。0勝馬として話題にしてもらっていますけど、出るだけじゃ面白くないので。結果を出せるように』と、同馬の大駆けに色気を見せていました。
『リズム重視でポジションはこだわらない』と河嶋調教師は言っていますが、持ち前のスピードを生かすことができれば、激走の可能性は大いにあると見ています」
河嶋厩舎は今年開業1年目。今回がGI初出走となる。話題の"0勝馬"で世間をアッと驚かすことができるのか、注目である。
京都が舞台となって、波乱ムード漂う2歳GI。混戦を断ちきって、ここに挙げた2頭がビッグな配当をもたらすのか。ワクワクが止まらない。