「余命宣告されてから4年が経ちますが、今も元気に過ごしています。余命あと1年と告げられた時、こうも決めました。延命治療は絶対に受けない、と。今、病院では緩和ケアだけをしてもらっています」
こう語るのは、元セクシー女優のピンク映画女優・風見京子(55)だ。セクシービデオに’00年から8年間に渡り60本ほど出演し、ピンク映画には’01年から出演している風見。実は余命宣告を受けた、癌サバイバーだ。その壮絶な半生と、延命治療を拒否して生きる日々について聞いた。
風見が「余命あと1年」と宣告されたのは’20年10月のこと。その際、余命を受け入れ、延命治療も受けないことにしたという風見。その理由は「もう人生に満足していたから」だという。
しかし、それは曲がりくねった人生を歩んできたがゆえの決断だった。原点は幼少期の辛い生活にまで遡るという。
「母は父と年齢が離れていて、今を思うと女を捨てられなかったんでしょうね。子供を鬱陶しいと感じていたのか、わたしの5歳上の姉を虐待していました。例えば『門限を守らなかったから』という理由でお風呂の水に顔を沈ませたり……。そういう虐待の光景をよく覚えています。
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いっぽう私は母に気に入られていたようで、母の浮気相手の男性に会わされたこともありました。子供心に『このオジさん、嫌だな』と思っていましたね。結局、母は私が小学1年生のときに男の人を作って出て行きました」(以下、カッコ内は風見の発言)
その後、父と姉と暮らすようになった風見だが、今度は姉から虐待を受けるようになったという。
「姉は表向きは近所で評判の子だったのですが、その裏では包丁を持って私を追いかけたり、『熱湯をかけてやる!』と叫びながら追い回したり。あと私が風邪をひいたとき、熱が出ているのに姉は私を裸にしてベランダに出して、締め出したり……。自分でも話していて、『本当にあっていいのかな、こんなこと』って思うんですけど(笑)。そういう家庭環境で育ってきました」
■姑にいびられ、離婚を機に女優の道へ…しかし、現場で“壮絶恐怖体験”が
そういった経験の影響か、幼い頃から変身願望が強かったという風見。成長するにつれ、 “女優になりたい”という夢が膨らんでいった。
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「幸せな家庭の奥さんとか、演じられるじゃないですか。自分と全く違う人生を演じたいなっていうのが、女優という夢のきっかけでした」
その思いを胸に秘めたまま風見は大人になり、一般企業に就職。24歳の時に結婚したが、そこで“夢への一歩”となる転機が訪れることに。
「夫はすごく優しい人なんですけど、お仕事が続かないひとで……。郵送業のお仕事に就いたときも、その日の昼過ぎに家に帰って来て『僕、あんなことをやっていたら死んじゃうよ!』って(笑)。
そもそも初めて会ったときもおかしくて。私は会社員の合間にゲームセンターでバイトしていて、彼もそこで働いていました。で、彼は自動ドアのマットを直そうとしてたら自動ドアに挟まれてしまって、そのときにアッて2人で目が合って(笑)。彼は口をボケーッと開けたまま。それが出会いなんです。
たぶん私、ボヤっとしたひとがタイプなんですね。だから彼との生活は楽しかったんですけど、いっぽう義理のお母さまが……。夫が仕事をやめると、私のせいにするんですね。それで嫌になってしまって、2年で離婚しました。そのときに『もう結婚することもないだろうし、人生好きなことをやって生きていけたらいいかな』って思って、本腰を入れて女優さんを目指すようになりました。それが26歳のときです」
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離婚後、アクタースクールに通い夢を追いかけることにした風見。しかし、なかなか芽が出なかった。それでも映像の仕事が諦めきれず、一度このタイミングで現在とは別名義でセクシービデオデビューを果たすことに。しかし、ここでもトラブルが。
「その時、所属していた事務所は給与の未払いなどが多々あって。でも、一度セクシー系のVシネマの仕事をくださったこともあったから、なんとか続けてはいたんですけど。
あるとき、ハードなセクシービデオを録ることになったんです。『演技だったら大丈夫ですよ』とお受けしたのですが、現場に行ってみたら首を絞められるわ、暴力を振るわれるわで。『やめてください!』って女優が言った場合、カメラを止めなければならないっていうルールがあるんですが、全然やめてもらえなくて……。
最終的に私の抵抗する態度が気に入らなかったのか、ローションまみれの頭のまま『帰れ!』って言われて。そのことがトラウマになってしまって……」
■女優の道を再び志すようになった“思わぬ転機”
撮影現場での恐怖体験がきっかけとなり、風見は引きこもり生活を送ることに。
「昼夜逆転生活を送って、日中はカーテンを閉めっぱなし。コンビニの店員さんとやりとりするのも苦痛で、家の外の子供の声も怖く感じました。とにかく人間不信や人間への恐怖感が強くて」
1ヵ月ほど怯えて暮らしていたという風見に、思わぬ転機が訪れる。
「あるとき、夜中にコンビニに向かう最中で、男性が倒れているのを見かけて警察を呼んだんです。そしたら後日、警察のかたから電話があって『助かりました。放って置かれていたら、彼の命に関わっていたかもしれませんでした』といわれて。私が誰かの命を救ったかもしれないということにビックリして。そのことがきっかけで気持ちが前向きになって、もともと知り合いだったカメラマンさんに連絡したんです。
というのも、このカメラマンさんは私が引きこもっていたときに『こもっててもしょうがないから』といって連絡をくださっていたかたなんです。それで、セクシー系の仕事を紹介していただいて。
最初は紙媒体だったのですが、結局セクシービデオにまた戻りました。次第にピンク映画にも出演させていただけるようになって、女優として活躍するという夢を叶えることができました」
順調に仕事をこなしていた風見だが、年齢のことを考え、映像の仕事のかたわら一般企業でも働くことに。ところが、その矢先に思わぬ出来事が——。“余命1年宣告”を受けたのだ。
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