【アメフト】立命大9年ぶり甲子園ボウルV「楽しもう」4年間に監督2度退任 悩み続けた4年生

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2024年12月15日 21:42  日刊スポーツ

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法大対立命大 優勝カップを掲げる立命大・山崎主将(中央)と雄たけびを上げる選手たち(撮影・上田博志)

<アメリカンフットボール全日本大学選手権決勝、甲子園ボウル:立命大45−35法大>◇15日◇甲子園球場



99年ぶり10度目出場の立命大(関西1位)が、9年ぶりに栄冠をつかんだ。かつての呼称「アニマルリッツ」を攻撃陣で再現して打撃戦を制し、45−35で9度目の学生日本一。就任1年目の高橋健太郎監督の下でRB山崎大央主将ら4年生が奮起して2年連続20度目出場の法大(関東1位)を撃破し、関西勢の連勝記録を「7」に伸ばした。ミルズ杯(年間最優秀選手賞)は山崎が受賞した。


 ◇   ◇   ◇


中央で円になり、つないだ手を振る。そして、時計がゼロを指した瞬間、立命大の選手は一斉に後ろに倒れて花を咲かせた。「最高のチームだった」。山崎率いる一団は感慨に浸り、聖地の空を目に焼き付けた。


開始直後から会場を沸かせた。1プレー目で山崎が独走TDを演じて先制。準決勝で早大を圧したランに加え、要所でQB竹田剛(3年)がパスを通して終始リードを守った。第4Q中盤で38−35と迫られてもダメ押しのTDで振り切る。前評判通りの猛攻で45得点を挙げ、9年ぶりの悲願を果たした。


4年生の在学中に監督が2度退任。「負けることで大事な人が去る」と悩んだ4年間だった。不信感が募り辞めた学生も多数。それでも「負け続けていることが重くのしかかっているのか、自己肯定感が低い」として改革を試みる高橋新監督を部員152人が信じ、試合ごとの目標設定、毎練習後の意見発表といった新たな取り組みを通して自信と自主性を備えていった。


中でも転機となったのは、唯一敗れた関大戦。最終節の関学大戦に無敗で挑もうと高まる気合が裏目に出て、13−24に終わった。傷を負い練習に身が入らない日が続く中、選手、スタッフ陣から徐々に声が上がり始めた。「楽しもう」。


練習で苦しむ分、本番では楽しむ−。新方針は個性派ぞろいの一団に浸透し始め、強豪関学大を皮切りに、東北大、早大と快勝。1月のアンケートでは具体的な目標を記さず、指示に従うという色が濃かった部員が、自信を持って「日本一になれる」と宣言できるまでに成長していた。


「この4回生は特別」。4年生は口をそろえて言っていた。監督交代などの環境の変化にも屈せず「日本一しんどい練習」を合言葉に、食らいついてきた仲間。最後に「記憶に残るチームになった」と指揮官をうならせる試合で、新たな歴史を刻んだ。【竹本穂乃加】


○…立命大の高橋監督は「しんどい1年だったけど、濃い時間を過ごせた」と振り返る。就任した1月時点では「日本一まで2〜3年かかる」と想定していたが、能力高い選手が一丸となり力が爆発。リーグ戦終盤からは「僕らの時代と同じくらいの熱量がある」と03年甲子園ボウル2連覇した現役時代と重ね合わせて成長を喜んだ。「4回生が取った日本一」。去っていく部員のレガシーを残していく。


○…両軍最多214ヤードを獲得し、年間最優秀選手にも輝いた山崎主将は「オフェンスの集大成を見せられた」と胸を張る。開始直後の独走TDは「フットボールの神様が味方してくれたプレーだった」と笑顔。試合終了後は涙ぐんで観客を見上げ「人生で一番最高の瞬間」と喜びに浸った。

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