FIA総会で組織の変更を承認。効率性の向上などを主張も、会長など組織上層部に権力が集中するとの懸念が生じる

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2024年12月17日 07:00  AUTOSPORT web

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 ルワンダの首都キガリで開催されたFIA総会は、物議を醸した一連のガバナンス変更を承認した。これにより、モータースポーツ統括団体の倫理委員会と監査委員会の権限は大幅に変更されることになる。

 FIAの会長であるモハメド・ビン・スライエムが先頭に立って進めているこの改革は、コンプライアンス責任者、倫理委員会、および監査委員会の責任と独立性を再定義することに重点を置いている。FIAの指導部は、これらの改革により効率性が向上し、機密性が保護されると主張しているが、批評家らはFIA内の監督と独立性が損なわれる可能性を懸念している。

 新しい規則では、コンプライアンス担当の業務は、FIA会長と上院議長の直接の管轄下に入ることになる。FIAは、メディアへの情報漏洩を含む内部の課題への対処と、運営を改革する取り組みの正当性を説明した。

「第一に、FIAの運営において管理部門の関与を減らすことで倫理委員会の独立性を維持し、強化していく」と、FIAはプレスリリースで述べた。

「倫理委員会は以前は会長の直属となっていたが、現在は会長と上院議長双方の監督下にある。委員会は現在、調査を開始するかどうかを独自に評価する権限を持つ」

 しかしながら、大きな論点となっているのは、倫理委員会の報告書の配布が制限されることだ。報告書については機密性を保護し、漏洩に対処するという明確な目標が掲げられており、今後は限定的に共有される予定だ。

「第二に、倫理委員会報告書を含む機密資料のメディアへの漏洩が継続した結果、すべての倫理委員会報告書の配布を制限することが提案されている」とFIAは明らかにした。

「これは、会長、上院議長、上院メンバー、FIAの他のメンバー、またはそのスタッフを、倫理委員会による勧告の議論や実施に参加させることを妨げるものではない。最後に、倫理委員会報告書には、刑事問題や安全保護問題など、機密性の高い内容が含まれることが多い」

「したがって、この情報を複数のメンバーやFIAスタッフと自動的に共有することを制限する必要があった。報告書の配布を制限することで、原告と調査対象者も保護されることになる」

 これまで独立した調査機関として機能していたFIAの監査委員会は、今後は上院への諮問機関としてのみ機能することになる。財務問題を独自に調査する権限は制限されており、「上院議長から調査要請があった場合」のみ調査が行われることになる。FIAはこの調整について詳しく説明した。

「今回の変更の目的は、監査委員会が上院の諮問機関であり、FIAの規則の範囲内で活動することを明確にすることにある」

「提案された改正案は、監査委員会が上院の支援機関であり、監査委員会の内部規則が今後は上院によって承認されることを非常に明確にしている」

「監査委員会は、上院議長から要請があった場合、支援および調査を行う権限を保持する」

 FIAは、こうした変更は業務改善のために必要だと主張している一方で、批評家らはこれらの動きは内部監視を弱め、組織の上層部、具体的にはFIA会長と彼の一番の協力者である上院議長に権力を集中させるものだと主張している。監査委員会の独立性を抑制し、倫理委員会が報告書を広める能力を制限することで、透明性と説明責任に関する懸念が生じている。

 ガバナンスをめぐる議論はあるものの、FIAは財政回復に関する前向きなニュースを発表した。FIAは2024年に220万ユーロ(約3億5600万円)の営業余剰を見込んでいるが、これは2021年の2400万ユーロ(約38億8000万円)の赤字からの劇的な好転となる。ビン・スライエム会長は、総会でこれらの成果を強調し、こうした改善はコスト抑制策と収益創出戦略によるものだと述べた。

「この成果は、ガバナンスと財務の分野で組織を改革するという我々の取り組みの結果だ」とビン・スライエムは語った。

「FIAの新指導部は、2022年に持続不可能な財政状況を引き継いだ。我々は、多額の赤字を削減するために懸命に努力し、連盟全体の財政状態を安定させた」

「我々は、FIAをより持続可能な財政基盤に置いて、会員クラブを支援するという第一の目的を達成するために、コスト抑制策と収益創出戦略を実施した」

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