FIA国際自動車連盟のモハメド・ビン・スライエム会長は、F1ドライバーに対して新たな戦線を張ることを決めたようだ。ドライバーたちがグランプリレースに常任のスチュワードを望むなら、「彼らがその費用を払えばいい」と語ったのだ。
FIA会長とF1ドライバーの関係は、今季2024年になってからとくに悪化している。ビン・スライエムの最新の“口撃”が、彼とGPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の関係修復のきっかけとなる可能性は低いと見るべきだろう。
シーズン終盤にF1のスチュワードが下した決定のいくつかは、ドライバー、チーム代表、経験豊富な観察筋から厳しく批判され、レースごとに一貫した決定を下すためにシーズン全体にわたって常任のスチュワードを置くことに関する議論が再燃した。
もちろん、そのようなスチュワードには報酬が支払われる必要があるが、現在のスチュワードは経費のみが支払われるだけのボランティアだ。しかしFIAの会長は、この議論をドライバーとの論争の問題に変えてしまった。ビン・スライエムは、「とてもいい話だが、彼らはプロフェッショナルと言ってプロフェッショナルを求めるが、そのためにお金を払いたいとは思っていない」と語り始めた。
この会長は、『FIAがドライバーやチームに毎年科している多額の罰金をどうしているのか』とドライバーたちが質問してきたことに依然としてかなり腹を立てており、次のように付け加えた。「彼らは話をすると、『そのお金はどこで使われているのか? なぜこうしないのか?』と言う。だが私は『ああ、すみません、あなた方はどうですか?』とは言わない」
「ドライバーたちは1億ドル(約154億円)以上稼いでいる。私は彼らに、『それを何に使うのか』と尋ねるだろうか? そうはしない。それは彼ら次第だ。それは彼らの権利だからね」
同氏は続けて次のように主張した。「(FIAに入ってくるお金は)彼らには関係のないこと。自分たちのお金で何をするかは自分たち次第だ。それは我々の仕事であり、彼らと彼ら自身のお金についてもまた同様だ」
また、ビン・スライエム会長は、FIAはF1の利益からもっと多くのものを得るべきだと主張しているが、これまでのところチームと商業権保有者は双方とも相手にしていない。
予定されているように、2026年からキャデラックが新たに参入しても彼の仕事は楽にはならないだろう。なぜなら、分配金を受け取る利害関係者がもう1社増え、FIAを含めた他の全員が自分たちの取り分が減るのを受け入れなければならないためだ。