トヨタのラリー育成プログラム4期生が決定。2名のドライバーと1名のコドライバーが選出

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2024年12月19日 17:30  AUTOSPORT web

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TGR WRCチャレンジプログラム4期生の選考結果 左からヨウニ・アンプヤ、尾形莉欧、柳杭田貫太、ミッコ・ヒルボネン
 12月19日、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)はWRC世界ラリー選手権で活躍できる日本人ドライバーの発掘・育成を目指すTGR WRCチャレンジプログラムの4期生として2名のドライバーと1名のコドライバーを選出したと発表した。

 TGR WRCチャレンジプログラム(旧TGRラリーチャレンジプログラム)は、日本からWRCのトップレベルで活躍できる可能性を秘めた才能ある若手ドライバーを発掘し、育成するために2015年にスタートした育成プログラム。

 TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のレギュラードライバーである勝田貴元を1期生とするこのプログラムは、以降も着々と練習生を増やしながらプログラムを発展させており、迎える2025年度には、2期生の小暮ひかると山本雄紀がWRCのサポートシリーズにラリー2マシンで出走し、同3期生の後藤正太郎と松下拓未についてはラリー3にステップアップして四輪駆動車の乗りこなしを習熟するプログラムに取り組む。

 そして今回、その傍らで進行していた4期生の選出が終了し、新たに尾形莉欧と柳杭田貫太というふたりのドライバーに加え、プログラム初のコドライバー育成プラグラムとして前川富哉の育成が決定した。

 今年度のセレクションは、10月下旬に富士スピードウェイで実施した1次選考、2次選考からスタートし、100名の候補者がフィンランドから来日した講師陣の前でスキルを試し、6名が2次選考を通過していた。

 最終選考には、モリゾウチャレンジカップでシーズンチャンピオンとなった山田啓介が合流し、計7名は、フィンランドの北部ラップランドで約1週間にわたるトレーニングキャンプに参加し、フィジカルテストおよびさまざまなマシンでの氷上走行に取り組んだ。

 候補者たちは雪上および氷上での走行はほとんど未経験だったが、講師陣は全体のレベルを高く評価。多くの議論の末に尾形、柳杭田の2名がドライバーとして選出された。

 23歳の尾形はeモータースポーツ出身で、大学の自動車部ではジムカーナとダートトライアルを経験。一方、24歳の柳杭田は長年ドリフトの世界で活動しており、今年のモリゾウチャレンジカップでラリーのキャリアをスタートさせた。

 両者ともにラリーの経験はまだ浅いものの、これまでの“先輩”たちと同様に来年上旬にはフィンランドへと拠点を移し、集中的なトレーニングプログラムに取り組んでいく予定だ。

 最初のトレーニングでは、ドライビングやペースノートの理解、フィットネスプログラムを包括的に行い、夏頃には前輪駆動のラリー4車両を用いてフィンランド国内やヨーロッパ内のラリーに参戦することを目標にしている。

 また今年は、プログラム初となるコドライバーのセレクションも実施し、5名の候補者が10月末に東富士で実施した最終選考に参加した。ペースノートのリーディングスキルやその他の関連するスキルについて評価を受け、今年のモリゾウチャレンジカップに参加していた前川富哉が選出され、フィンランドでのトレーニング参加が決定している。

 前川は2025年1月より、経験豊富なフィンランド人ドライバーのヤルッコ・ニカラとともにラリー参戦を開始する予定だ。

 チーフインストラクターのミッコ・ヒルボネンは、「最終選考のメンバーのレベルは今年さらに上がった」とし、4期生の選考会について振り返る。

「富士スピードウェイで選考をスタートするプロセスは今年で2回目だったが、フィンランドでの最終選考のメンバーのレベルは今年さらに上がったと感じている」

「今年も優れたドライバーが集まり、全員が一週間を通して成長を見せてくれた。経験は少なくても素晴らしい素質を持っているドライバー、すでにモータースポーツの経験があるドライバーなど、彼らのバックグラウンドはさまざまだったが、実力の差は拮抗しており、全員が必死に努力する必要があったはずだ」

「運転の技術はもちろん重要だが、プレッシャーのかかるなかで彼らがどのようにパフォーマンスするかも重視している。さまざまなクルマや状況で安定した走りができるか、タイムを計ったときに冷静に対応できるか、というような点で、リオとカンタ(選出されたふたり)は他のメンバーを上回っていた」

「彼らにとっては本当に大変なのはこれからだ。クルマの運転は高いレベルでできていても、より完成されたアスリートになるにはメンタル面やフィジカル面など、多くの要素が関わってくるからだ。そしてペースノートに関してもやるべきことがたくさん残されている」

「また、プログラムがコドライバー向けにも広げられたことは素晴らしいことで、トミヤは経験豊富なドライバーの横に乗って多くのことを学び、トップコドライバーに必要とされるすべての要素をチームから学んでくれることを期待している」

 今回選出された尾形と柳杭田、そして前川のコメントは以下の通りだ。

■TGR WRCチャレンジプログラム4期生コメント
●尾形莉欧
「まずはホッとしています。昨年もこのセレクションを受けて最終選考で落ちてしまったので、今年ふたたびチャレンジしてミッコとヨウニに認めてもらえたことがとても嬉しいです」

「自分はシミュレーターをメインでやってきて、大学に入ってからジムカーナやダートトライアルをやってきました。ラリーの経験はありませんが、このプログラムに参加することで、たくさんの経験を積んで、もっとうまくなれると思うのでとても楽しみです」

●柳杭田貫太
「発表まで不安な気持ちもありましたが、自分の名前が呼ばれて本当に嬉しかったです。氷上でさまざまなクルマに乗らせていただき、ライン取りや車の動かし方、ブレーキの使い方など、講師からたくさん的確なアドバイスをいただき、とても勉強になった一週間でした」

「チャレンジプログラムに参加することは自分にとって新しい人生の始まりだと思っているので、厳しい道のりになると思いますが、WRCのトップを目指して頑張っていきたいと思います」

●前川富哉
「技術を磨くことが難しいと感じていたコドライバーの育成がチャレンジプログラムで開始されるということで、またとないチャンスを絶対に掴みたいと思っていました。選んでいただけて本当に嬉しく思っています」

「選考会を通してTGRの皆様と接するなかで、すでに世界のレベルの高さを感じており、今後、日本では経験することが難しい環境や道でトップチームの技術を学べることがとても楽しみです。なるべく多くを吸収して技術を高め、次世代の日本のコドライバーに希望を与える選手となれるよう全力で臨みます」

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