12月11日〜13日、三重県の鈴鹿サーキットで行われたスーパーフォーミュラの公式/ルーキーテスト。今回は海外からのドライバーが多く参加し、来季F1フル参戦が決まっているオリバー・ベアマンをはじめ、今季FIA F2を戦ったドライバーもいた。
スーパーフォーミュラとFIA F2はF1のすぐ下に位置するカテゴリーということで、比較対象となりやすいが、F1のフリープラクティス1(2023年アブダビGPでウイリアムズより)とFIA F2の経験があるザク・オサリバンに、改めてスーパーフォーミュラとの違いを聞いてみた。
■2024年の宮田莉朋を見ていて思うこと
今回の鈴鹿テストではKONDO RACINGからルーキードライバー限定枠の3日目に参加したオサリバン。彼は2024年、ARTグランプリからFIA F2レギュラー参戦を果たし、第5戦モンテカルロのフィーチャーレースでは初優勝も飾っている。
しかし、3ラウンドを残したところでチーム離脱が発表。その中でSFテスト参加の話が舞い込んできたとのことだ。
「本当にギリギリのタイミングで、マネージャーから『スーパーフォーミュラのテストに参加できることになった』と連絡が来た。そこから準備をして日本に着いたのは水曜日(12月11日)だ。本当にギリギリだった」とオサリバン。
スーパーフォーミュラは以前からチェックをしていたという。
「もちろん、このシリーズのレベルが高いということは知っていたし、F1に近いカテゴリーだというのが大きくて、その理由もあって細かくチェックしていた。F1を除くと一番と言っても良いくらい速いクルマだし、シリーズもすごくコンペティティブ。参戦しているドライバーが、コースを熟知していて、初めて来たドライバーにとっては結果を出すのが難しい。だから、いつも興味深く状況を追いかけていた」
「だけど、イギリスにいると時差の関係で早朝(イギリス時間の朝4時〜5時ごろ)にレースをするから、ライブで観ることはなかったけど、ハイライト映像などは必ずチェックしていた」
改めて、テストを終えて「このクルマ、速い!」と第一印象を語ったオサリバン。
「F2のマシンと比べてもダウンフォース量は多いし、本当にF1に近い感覚だなと思った。あとスーパーフォーミュラにはパワステも付いている。そして今回のテストでは鈴鹿サーキットを走れたというのも楽しかった。世界の中でも素晴らしいサーキットのひとつだ。限界を見つけるのに少し時間はかかったけど、すごく楽しい1日だった」
「今回、スーパーフォーミュラで鈴鹿を走ったけど、個人的には鈴鹿をF2のカレンダーにも組み込んでくれたら面白いだろうなと思う。すごくハイスピードで、ランオフエリアがなくて、まさに“オールドサーキット”の特徴が詰まっている。セクター1は難しいけど走っていて楽しいし、難しく感じたのはターン7(NIPPOコーナー)とデグナー1。特にデグナー1はちょっと怖かったね」
スーパーフォーミュラとFIA F2の違いについて聞くと、オサリバンはダウンフォースとタイヤというふたつのキーワードを挙げた。
「スーパーフォーミュラの難しさというのは常にハードプッシュをしなければいけないことだと思う。ダウンフォースがあって、タイヤのグリップに関しては許容範囲が大きいので、その分攻めていかないといけない」
「対してF2は(SFより)パワーがあって車重が重いけど、ダウンフォースは少ない。スーパーフォーミュラの方がF1に近い印象があって、このダウンフォースを使ってコーナーでいかにタイムを稼ぐかが重要になってくる。でも、F2はストレートで稼ぐ印象。だから、そこのアジャストには少し時間がかかった」
2024年シーズンは前年のスーパーフォーミュラ王者である宮田莉朋がFIA F2に参戦していたが、ピレリタイヤの理解と使い方の部分で苦労している印象がある。今回オサリバンは、初めてヨコハマタイヤを経験したが、キャラクターの違いは彼も強く感じたようだ。
ピレリタイヤの特徴について「しっかりタイヤマネジメントをしてあげないと、(グリップの)ドロップが激しい。ニュータイヤとオールドタイヤのキャラクターも大きく異なるから、それでオーバーテイクが生まれている部分もある」とオサリバン。
「今年、莉朋を見て思うけど、ピレリタイヤを使うのが初めてというのは彼にとってより難しいものになっていると思う。ヨーロッパでレースをしているドライバーはF3とか、その下のカテゴリーでピレリタイヤを履いている経験がある。ピレリ自体のキャラクターはそこまで変わらないから、カテゴリーが変わってもピレリの経験というのは活かされる。それだけピレリタイヤは難しい。特に決勝レースはそうだね」
ピレリタイヤでのレースに慣れているからこそ、「だから、今回僕にとってはヨコハマタイヤの特性に慣れるのが難しかった」というオサリバン。2025年以降のことについては何も決まっていないようだが、日本のフィールドでレースをするにあたってハードルになりそうな部分を、今回のテストで確認できた様子だった。