自民、公明両党と日本維新の会は19日、教育無償化に関する実務者協議の初会合を国会内で開いた。所得制限なしの高校無償化を看板政策に掲げる維新は関連費用を2025年度予算案に盛り込むよう要求。与党の対応次第で予算案に賛成すると示唆し、「少数与党」に圧力をかける。与党は維新との「部分連合」を手元のカードに加えたい考えで、双方の思惑が激しく交錯している。
「本気でわれわれと向き合うか見極める」。実務者協議に先立ち、維新の前原誠司共同代表は19日の記者会見でこう強調。高校無償化を「賛成の必要条件」と位置付けた上で、「必要条件はいくつもある」と述べ、予算案への賛否をてこに政策の実現を与党に求めていく考えを示した。
維新は10月の衆院選で議席を減らした。これを受けて執行部が交代したが、「年収103万円の壁」見直しを与党に迫る国民民主党に注目が集まり、埋没への懸念が広がる。与党との協議には来年夏の参院選を控え「目に見える成果を挙げて存在感を発揮しないといけない」(中堅)との焦りも透ける。
一方、衆院で過半数を失った与党には維新を引きつけておきたい思惑がある。国民民主が年収の壁を巡る与党との協議を打ち切るなど、強硬姿勢を強めているためだ。19日の協議に同席した自民の小野寺五典政調会長は「方向性は近い」と維新に秋波を送り、自民幹部は「維新カードは残しておかないといけない」と本音を吐露した。