松本人志不在の番組を救った超ヒット企画…SNSで「水ダウ」が大拡散されたワケ

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2024年12月21日 16:00  女子SPA!

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女子SPA!

(画像:『水曜日のダウンタウン』TVer配信ページより)
12月18日の『水曜日のダウンタウンSP』(TBS系)で、人気企画「名探偵津田」の最新作「第3話 怪盗vs名探偵〜狙われた白鳥の歌〜」が放送された。

◆SNSでは考察合戦で関連ワードがトレンド入り

この企画は、ダイアン・津田篤宏がいきなりミステリードラマの世界に引きずり込まれるドッキリ。しかも、通常のドッキリ企画と違い、殺人事件の犯人を見つけるまで帰れないという、長時間拘束のロケが行われる。

この企画は、2023年1月25日に「犯人を見つけるまでミステリードラマの世界から抜け出せないドッキリ、めちゃしんどい説」として登場。さらに、第2弾が2023年11月8日から2週に渡って放送された。

今回の第3弾は特に人気がすさまじく、犯人役の俳優のインスタ投稿には約4000件以上のコメントが集中。各ニュースサイトが放送の様子を記事化し、X(旧Twitter)を中心としたSNSでは考察合戦が繰り広げられ、関連ワードがトレンド入りした。

なぜ、この「名探偵津田」は人気なのか? 今回の第3弾の内容も含めて、元テレビ局スタッフが解説していく。

◆津田の人間臭さでドラマとミスマッチを起こすおもしろさ

まだ見たことがない人のために、まずは「名探偵津田」の企画を説明すると、前述通りドラマの世界に引き込まれた津田は、殺人事件に必ず巻き込まれる。その際、「芸人・ダイアン津田篤宏」では無く一人の探偵として扱われ、他の登場人物も『水曜日のダウンタウン』の撮影という概念ナシで、あくまでミステリードラマの登場人物として振る舞う。

結果、津田だけが現実と虚構の世界線を行き来するようになり、不自然な設定のままミステリードラマが進んでいく。津田は不可解な設定に戸惑い、イライラをつのらせて随所で暴言を吐くようになる。

つまり津田のガサツな人間性が他の番組より色濃く出ることになり、嫌々(いやいや)企画に参加してシリアスなドラマにミスマッチを起こすことで、笑いを生み出していく。

今回の放送でも、「名探偵津田」のスタートを察した津田は全力で参加を嫌がっていた。事件は『水曜日のダウンタウン』の収録スタジオで、アンガールズ田中卓志が殺されるところからスタート。すぐに異変に気づいた津田は、とにかく企画への参加を拒否し、新潟が舞台と分かると着替えがないとゴネて、大きな話題になった「長袖をください」というセリフを披露。

とにかく毎回、ミステリードラマに参加したくない津田が主人公というおもしろさを生み出されている。

当然、彼が嫌々なので事件解決にも後ろ向きであり、第3弾では新潟のホテルが舞台なのだが、深夜の労働や長い移動にはじめから不満たらたら。しかも、寝ようとすると何度も起こされる嫌がらせを受け、最終的には「東京に帰る」とマジギレする場面も見せてくれた。

また、前回の第2弾では長野の山奥にある村が舞台であったが、とにかく坂が多いことに文句を連発。重要なアイテムとなる鞠(まり)を見つけなければいけない展開に「めんどくせえ」と発し、ミステリードラマの定番となる検証もやりたがらない。

どこまでも人間臭い津田がおもしろく、バラエティ番組でありながら新しい形のミステリードラマを生み出すことに成功している。

◆津田の芸人としてのセンスの良さで視聴者をドラマに引き込む

嫌々ながらミステリードラマを主人公としてすすめる津田だが、さすがは一流のツッコミだけありワードセンスの高さは秀逸だ。

第1弾では山奥のペンションが舞台だったが、大雨で橋が落ちて密室になった展開にも、そんなに雨が降っていないとツッコみ、「ブンブンブンブン車通ってるよ」と指摘。ベタなミステリードラマの設定も、津田が細かくツッコミを入れることで新しい見方ができるようになり、視聴者はドラマに引き込まれていく。

それに、思いがけないことが起きた時のリアクションはピカイチだ。津田は、自分の立ち位置がわからないので第三者的な視点の場合が多く、視聴者と同じ目線で驚いてくれる。リアクションのタイミングや動作も完璧で、物語にドライブ感を生み出されている。

また、第2弾・第3弾では芸人のみなみかわも巻き込まれるのだが、ダブルツッコミとしてドラマのおもしろさが倍増。みなみかわが登場することで津田は自由に動けるようになり、時には設定に乗ってボケに回ることも。

お笑い要素を2人が足していくことで、「名探偵津田」は極上のエンタテイメント作品に仕上がる。正直、ここまで3話が制作されているが、ミステリードラマとして設定や謎解きが秀逸だとは言えない。なのに、津田(場面によってはみなみかわ)が主人公になることで、退屈なストーリーも続きが気になってしまう。そこに、「名探偵津田」の魅力がつまっているように思える。

◆今回はスケールアップ、ただ荒削りのほうがおもしろいかも

さて、今回の第3弾は「有名人の卒業アルバム、その地元に行けば意外とすんなり手に入る説」のVTR終わりでトークする『水曜日のダウンタウン』のスタジオで殺人事件が発生し、現場に居合わせた名探偵津田が事件解決に立ち上がるという流れだ。

まず言えることは、序盤は通常回、そして本編は2時間スペシャルと、週をまたいでの放送で尺が長くなったこともあり、物語のスケールが大きくなった。いつもの水ダウだと思って上記の説を見ていたら、実はミステリードラマの前フリだったという壮大さが楽しめる構造といえるだろう。

また、今回は現実とミステリードラマの世界をクロスオーバーさせる演出が増えていた。

前述のように、津田(場合によってはみなみかわも)だけが現実と虚構の世界線を行き来するのだが、これまでの回での架空のロケ番組や、地方の村人たちといった設定とは異なり、今回は殺人事件が水ダウという実在の番組で起き、津田と先輩関係にあるダウンタウン浜田から犯人探しを依頼された。そのため、ミステリードラマのフィクション世界の住人としての自分と、現実世界の自分がゴチャゴチャになり、2つの世界線のはざまで混乱し、戸惑う津田が面白い。

加えて、彼にとって極めて親しい関係にある意外な人物もサブライズ登場するのだが、ミステリードラマ内の設定では、「津田のことを全く知らない」キャラクターであるなど、巧みなワザを効かせているのも笑いを誘う。

今回は「名探偵津田」として回を重ねたことで、前作での印象的な登場人物と縁のある人が出演するなど、過去作が“フリ”になっており、シリーズものとしての醍醐味を感じさせるものであったといえるだろう。

ただ、惜しむらくは、初回から見るとパワーダウンした印象もあった。第1弾・第2弾は演者や設定に荒削りなところがあり、それがおもしろさを増していた。特に、第2弾では犯人役も含め、俳優の演技がグダグダになるおもしろさがあった。

今回の第3弾ではサクサクとストーリーが進み、ミステリードラマとしての完成度は上がっているように思える。だが、もっと、津田の混乱する姿を楽しむには、荒い作りのほうがおもしろいのではないかと。

なんにせよ、今回も大きな反響を生み出した「名探偵津田」。松本人志の活動休止後、初の同シリーズとなった第3弾は松本の不在を一切感じさせることなく、新たな番組の視聴者の獲得にも成功しただろう。第4弾が制作され、もっともっとおもしろい津田の姿が見られることに期待したい。

<文/ゆるま小林>

【ゆるま 小林】
某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆

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