2024年KYOJO CUP最終戦となる第6戦が12月22日に静岡県小山町の富士スピードウェイで開催される。
第5戦終了時点のドライバーズランキングは、斎藤愛未(Team M 岡部自動車 D.D.R VITA)が81ポイントで首位、そこから4点差の77ポイントで翁長実希(Car Beauty Pro RSS VITA)が同2位に続いており、自力でタイトルが獲得できるのはこのふたりにほぼ絞られている。
予選から決勝レースまで直接対決が繰り広げられる予感がする斎藤と翁長の両車に、最終戦の展望とチャンピオン獲得に向けての抱負を聞いた。
■斎藤愛未「意識せざるを得ないチャンピオン」
開幕戦の2位から2024年シーズンをスタートさせた現ランキングトップの斎藤。7月の全日本スーパーフォーミュラ選手権との併催戦では、夫である坪井翔とともに“夫婦優勝”を成し遂げる2連勝をマーク、その後の第4戦も制して一気にランキングトップに立つ快進撃をみせた。しかし、迎えた10月の第5戦でまさかのノーポイントに終わると、ランキング2位の翁長が優勝を飾ったことで、この最終戦には4ポイントリードで臨むことになる。
その斎藤に、自身初タイトル、そして、モータースポーツではおそらく世界初となる“同シーズン夫婦チャンピオン”獲得に向けて聞くと「自分自身の気持ちの変化はあまりないです」と答える。
「ですけど、周りのみんなが『チャンピオン』『チャンピオン』と言うので、意識せざるを得ないという感じですね(苦笑)。でも、自分のなかでは落ち付いているつもりです」
KYOJO CUP第6戦が行われる12月21日は朝の8時45分から予選が行われるが、斎藤は「明日はかなり寒くなる予報で、今年でいちばんタイムが出るコンディションになると思います。なので、監督(Team Mの三浦愛監督)が持っているコースレコードを私が塗り替えて、しっかりと予選を終えたいです」と、まずは堅実に予選を終え、決勝の展望を続ける。
「決勝では冷静にレースを繰り広げてリードを広げていき、優勝を目指して頑張ることがチャンピオンに繋がると思っています。チャンピオン争いは、おそらく翁長(実希)さんとの一騎打ちになるので、とにかく翁長さんの前でゴールすることが、いちばんの目標です」
また、今回のチャンピオン獲得に向けては、夫である坪井も“夫婦タイトル”獲得のために、妻である斎藤にささやかなサポートをしていたようだ。
「けっこう気を遣ってくれているみたいです(笑)。レース前には『今週は全部私(斎藤)に合わせるから』と言ってくれたり、重い荷物を持たせないようにしてくれたりと、繊細な部分でフォローしてくれています」
「最終戦が終わるまでどんなレース展開になるかは正直分かりません。ですけど、主人にも言われていますし、まわりも期待していると思うので“世界初の夫婦チャンピオン”を獲って、ニュースにしてもらえるように頑張ります」
■翁長実希「トラブルが改善されないと勝負権がない」
一方、4ポイント差のランキング2位で斎藤を追う翁長。走り出しでの自身とクルマの調子は悪くなかったものの、その後のトラブルが気になっている様子。
「水曜日の走行初日の感覚ではタイムも非常に良くて、セットアップもばっちり決まっていたので、クルマや自分の“腕”の調整はうまくできているのかな、と思います」
「ただ、金曜日からのFCR VITAのレースでトラブルが出ていて、その部分が明日の予選までに改善されないと勝負権がない状態です。なので、チームと相談して、一生懸命トラブル復旧に向けて進めています」
翁長を悩ませるトラブル原因は「スロットルを踏んでも加速しない」というもの。それはロガーデータにも現れているという。
「データを見ても(アクセルオンまでの)落ち込みが実際にある状態です。ブレーキから旋回までは勝負できるのですけど、アクセルを踏んでいる時間で、どうしても大きく差が出てしまっています」
逆転チャンピオンに向けて少しの暗雲が立ち込めてしまった翁長だが、まだ諦めてはいない。ワンメイクレースで“ドライビング・アスリート”を掲げるKYOJO CUPレースに向けての抱負を以下のように続けた。
「どういった状況でも自分のベストをしっかりと出し切りたいです。そして、ずっとライバルで走っている(斎藤)愛未さん、(下野)璃央ちゃん、(平川)真子ちゃんたちと、究極の腕だけのレースを繰り広げられるようにしたいですし、見てくれている皆さんに喜んでもらえるレースができるように頑張りたいです」
いよいよ今シーズンのチャンピオンが決まる2024年のKYOJO CUP最終戦。運命の公式予選は22日8時35分から、そして決勝レースは同日午後の13時5分から始まる。過去最多37台でのVITA最終決戦はどんな戦いが繰り広げられるのだろうか。