KYOJO CUPシーズンエンドパーティーの様子。席を超えて、ドライバーやチーム関係者との交流を深めた 12月21日、静岡県御殿場市にある富士スピードウェイにて、2024年KYOJO CUPのシーズンエンドパーティーが行われた。イベントには最終戦に参戦しているドライバーやチーム関係者、シリーズを支えるスポンサー、そして応援するファンたちが集い、ビュッフェ形式の料理などで懇親を深めた。
KYOJO CUPは女性レーシングドライバー限定としつつ、ワンメイクマシンでもって争われるレースシリーズであり、2017年に初開催されてから今年で8年目のシーズンを迎えた。2024年はこれまで使用してきたマシン『VITA-01』を走らせる最後のシーズンでもあるが、12月22日には斎藤愛未(Team M 岡部自動車 D.D.R VITA)と翁長実希(Car Beauty Pro RSS VITA)による頂上決戦を控えている局面だ。
そんな第6戦の決勝前夜に開催されたシーズンエンドパーティーは、富士スピードウェイのピットビル・クリスタルルームで開催された。冒頭のあいさつとして、Kids comの代表取締役社長であり同社がスポンサードして全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦するKids com Team KCMGゼネラル・マネージャーを務める“ミスター西山”こと西山悟氏が登壇した。
「今年途中からですがKYOJO CUPをサポートさせていただくことになりました。関谷(正徳)さんとはお食事をして、お酒を飲んでる勢いでKYOJO CUPのことをいろいろとお聞きしました。僕もレース業界はまだ浅いので、そこまでいろいろなことはまだ知らないのですけど、賞金の話を聞いて『いや、それ(金額)は少ないんじゃないの』と思い、『じゃあ僕が出すから、ドンとはずんでくれ』と飲んだ勢いで約束をしました」
「女性のレースは、なかなか稼ぐといいますか、賞金を獲得する機会が少ないと思うので、そういった機会をインパクトあるものにしていただきたいと思っています。また、シリーズの一年間、みなさんのすごく激しいバトルを見させてもらい、本当に楽しませていただきました。明日は最終戦がありますが、この一年間を見ていても、ものすごく盛り上がりをみせていると思いますので、このまま明日も“めちゃくちゃ盛り上げて”来年に繋げていっていただきたいと思います」
そんなミスター西山だからこそ語れるトピックを語ったのち、パーティーは西山氏による乾杯の音頭で開宴。ドライバーをはじめ、チーム関係者などが食事と歓談を楽しんでいるなか、式が進むと、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)モータースポーツ担当部長/技術室室長の加地雅哉氏が登壇し、KYOJO CUPと今後のモータースポーツが目指すべき場所を語った。
「KYOJO CUPは見ていておもしろいレースが毎戦繰り広げられていて、参戦しているみなさんの熱意であったり、一方で今日はこうして見えるオフの表情など、すごく魅力あふれるカテゴリーだと思っています」
「女性の方々がこうして輝いてる姿をいろいろな人に見てもらえれば、モータースポーツがもっともっと盛り上がっていくと思いますし、競技人口も増えて、モータースポーツはこの先もずっと続いていくスポーツになると思います」
「(オーガナイザーの)関谷さんが目指している『モータースポーツがいつかオリンピック競技』になったとき、男性と女性が競技できるように、今後もみなさんと一緒に頑張っていけたらいいなと思っています。来年もよろしくお願いします」
パーティーが進むと、普段はなかなか接点がないようなドライバーとチーム関係者同士でコミュニケーションが取れるように30分おきの席替えをしたり、2017年から始まったKYOJO CUPの歴史をクイズ形式で振り返る出し物もスクリーンで披露していく。
そして、司会進行を務める関谷桃子さんが「縁もたけなわですが……」と切り出すと、閉宴のあいさつとしてKYOJO CUPオーガナイザーである関谷正徳氏が登壇し、閉宴のあいさつを述べた。
「実はみなさんにあまり伝えていなかったかもしれないですけど、モータースポーツは社会から市民権を得ていません。スポーツと言っているのですが、スポーツニュースでは取り上げてくれないですし、社会がスポーツという目で見ていないところがあるかと思います」
「こういった部分を変えていかないと、これからのモータースポーツの未来はないんじゃないかと思い、女性にも入ってもらい、女性でも活躍できる環境を提供しないことには『モータースポーツの未来がない』と自分は思ったので、KYOJO CUPをスタートさせました」
「これから世界の女性が驚くようなKYOJO CUPにしていきたいと思いますし、みなさんの力でそれを成し遂げてくれたら嬉しいなと思います。そのとき、僕は生きているかは分かりませんけど、10年後や20年後、女性が活躍するモータースポーツが当たり前の常識というふうになっていることが目標です。運転技術がオリンピック競技になってほしいです。みなさんの運転技術に、価値を与えていくモータースポーツになっていきたいと思います」と語り、拍手喝采に包まれてパーティーは閉幕となった。
翌12月22日(日)には2024年のKYOJO CUP総決算といえる最終戦が行われるが、本番を前に終始和やかな雰囲気でお互いの親睦を深め合いつつ、これからのKYOJO CUPに向けての結束をより一層強めたパーティーとなった。