TICAD、当初「サハラ以南」想定=エジプトなど反発で全域に―93年外交文書

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2024年12月26日 14:01  時事通信社

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インタビューに答える松浦晃一郎元外務審議官=17日、東京・有楽町
 日本政府が1993年10月に初めて開催したアフリカ開発会議(TICAD)について、当初の招待国は「サハラ以南」(サブサハラ)の国のみを想定していたことが分かった。エジプトなど北アフリカ諸国が「(アフリカの)分断にならないことを希望する」などと反発し、対象をアフリカ全域に広げた。26日に公開された外交文書で明らかになった。

 TICADは日本政府の主導で、アフリカの開発支援などを話し合う首脳級国際会議。8回目となった前回は2022年にチュニジアで行われ、20人の首脳級を含むアフリカ48カ国が参加した。次回は25年8月に横浜市で開かれる。

 日本外務省の当初方針に対し、エジプトの在京大使館は91年9月、「国連、アフリカ統一機構(OAU、アフリカ連合=AUの前身)ではアフリカといった場合、北アフリカも含まれる。参加招請を受けるべきだ」と要請。92年にも、チュニジアの外務次官が「北アフリカをサハラ以南諸国と切り離そうとの試みは決して成功しないし、アフリカ諸国の反発を買うことになる」と申し入れた。

 外務省側はサハラ以南を念頭に招待国を検討していることを改めて伝達したが、最終的には両国とアルジェリア、モロッコの北アフリカ4カ国が正式に参加した。

 当時外務審議官(経済担当)だった松浦晃一郎元国連教育科学文化機関(ユネスコ)事務局長は取材に「外務省の縦割り行政の弊害だ。事務的な話で、政治的なものはゼロだ」と説明した。同省では中東第1課が北アフリカ諸国を、アフリカ部がサハラ以南の国に関する業務を担当している。 

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