今年1月、日本初の月面軟着陸に成功した小型無人探査機「SLIM(スリム)」について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が26日、記者会見し、坂井真一郎プロジェクトマネジャーは「38万キロ先まで旅をして、本当に頑張って成果を出してくれた」とSLIMに感謝の言葉を述べた。
SLIMは1月20日未明、月の「神酒(みき)の海」にあるクレーター付近に着陸。目標地点からの誤差は10メートル程度で、これまでにない高精度の「ピンポイント着陸」を達成した。小型探査ロボット2台と連携して月面に降り立った機体の撮影にも成功。分光カメラで月面の鉱物を観測するなど科学的成果も挙げた。
さらに、設計上想定されていなかった、極寒の月の夜に耐えて運用を再開する「越夜」にも3回成功。これらの技術や知見、取得データはJAXAや民間が計画している月着陸機などに提供されるという。
会見にはJAXA宇宙科学研究所の国中均所長も同席。着陸直後は「ぎりぎり合格の60点」、小型ロボットなどの撮影成功で「63点」としていたが、3回の越夜成功など貴重なデータが取得できたことを評価し、「将来に向けた宝物だと思っているので、69点にしたい」と語った。
小型月探査機「SLIM」の成果について記者会見するJAXAの坂井真一郎プロジェクトマネジャー=26日、東京都千代田区
小型月探査機「SLIM」の成果について記者会見するJAXA宇宙科学研究所の国中均所長=26日、東京都千代田区